- 2008-08-01 (金) 12:25
- BL小説(作家名・か行) | 柊平ハルモ
リンクスロマンス、柊平ハルモさんの「未然の恋」です。
この話を簡潔に書くと、嫌よ嫌よも好きのうち・・・って話なんですけれど(笑)
読み進めていくうちにどんどん当初の予想が裏切られていくのがわかって思わず唸りました。
な、なんなんだこの可愛さは!!
作者さまあとがきに、お話を考えたときから稲荷屋さんのイラストをイメージにしていましたと書いています。
うーん妙に納得。
ノンフィクション作家と出版会社の編集というカップリングで、イラストからすると野性味溢れるワイルド俺様攻めにクールビューティ(もしくはツンデレ)受けになるんでしょうね。
受けの星名一彦(ほしな いちひこ)と攻めのひ桧垣季逸(ひがき きいつ)は少年時代同じ秘密を共有していました、忌まわしい過去から逃れて十数年。忘れたい、忘れようとしてずっとすごしてきた一彦でしたが、季逸との偶然の再会で思い出したくも無かった事をまざまざと目の前に見せ付けられることになって動揺するんです。
そして、過去の秘密をばらされないために一彦は季逸に『口止め料』と称して再び自分の躯を差し出すことに・・・
これって、結構ありがちパターンですよね~
いやいやながら躯を差し出して憎むべきともいえる相手にいいように弄ばれてしまい心も体もボロボロになってしまう。
しかし実は根底には違う思いが隠されていて誤解したままだから、そのまま二人の関係が拗れたりすれ違ったりして、読んでいてイライラ悶々したり、切ない気持ちを味わったり・・・柊平さんって年の差カップルだったり、ちょっとした誤解が元で、すれ違ったり、関係が拗れてしまったりするような痛切ない雰囲気のお話を得意とされている作家さんだと言うイメージがあって、今回もそういう話を予想して読み進めたんですが、違うんですよ!!
二人は同じ地方の出身で同年代ですが、同級生とか幼馴染。。。と言うわけではありません。実はわけあって教護院、現代でいうところの児童自立支援施設に入所していたという人にはあまり言えない過去を持っていました。
しかも、一彦の方は仲間に裏切られての冤罪で入所していたので(何も知らずに友達について行き、無理やり薬を打たれ動けなくなったところを見つかり捉まってしまったのです)、誰も信じることが出来なくなっていて、自分の周りに高い壁をめぐらせて誰も近寄らせないような雰囲気をまとっていつも一人でいたんです、そんな彼に唯一関わってきたのが同じ時期施設に入所していた季逸でした。
しかも、ちょっとした秘密を共有することにもなり、その口止め料として当時から躯の関係を強いられていた相手でもありました。
当然一彦にとって、季逸との再会は迷惑なだけでしかない。ところが、季逸が自分の尊敬しているノンフィクション作家「由比樹」であることなどもわかって二重にショックを受けることになったばかりでなく、作家と編集として一緒に仕事をする羽目に・・・。
季逸はおそらく俺様な攻めで、その予想は外れていないと思うのです。でも、普段は厚顔不遜ともいえるくらいの態度で相手を自分のペースにどんどん巻き込んで翻弄するくらいなのに、ふとしたときに優しいく鷹揚な部分を見せたり、かとおもうと弱い部分が垣間見えたり、ちょっとしたことで子どもっぽかったり。
そんな風に少しずつ違う顔が見えてくると、その一挙一動がなんとも言えず妙に可愛くて、読み進めていくうちどんどん頬が緩みっぱなしになるのです。
現代モノで二人とも同じ28歳と言う設定だからなのか当然のように「アホ!」とかため口の台詞が普通に出てきたりするので、こういう話をかいたりするんだ~なんて、そういうところも今まで持っていた自分の中の柊平さんのイメージが良い意味で一掃された作品でもあります。
また、お話の内容が少年の犯罪を取り扱ったもので、一彦の入所理由が理由なだけに、子どもがいかに犯罪に対して無防備であるかを思い知らされたようで、子どもを持つ親として身につまされるものがありいろんな意味で胸に痛かったです。
施設に入っていたころは、お互いがまだ子どもで相手の気持ちを鑑みる余裕もなく、稚拙なだけだった行動が、数十年と言う時を経て大人になってからまた再会することで、以前は見えなかったものが見えるくらいにお互いが、特に一彦が成長していたから相手のその変化や気持ちを汲み取るだけの余裕が出来ていて、季逸のその変化に気づくことが出来たのでしょうね。
お話の中心は一彦なので、彼の視点で話は進むのですが、季逸の性格が非常にわかりやすいものだから、相手役の心情が全くわからなくてなんだか不満・・・なんていうのも全然感じずにすみました。
思い出したくも無いと思っていた相手だったけれど、二人にとって、特に一彦にとってこの再会はとても貴重で意味のある再会となったと言えるのでしょうね。
今回挿絵の稲荷屋さんのイラストですが、良い良いといっても、実は正面からのカットはあまり好きではないんです。でも、横顔とかちょっと変わったアングルのイラストは無性に良いですね~
特に、服を着ているイラストよりまっぱな二人の絡みがすごく好きです(笑)
今回この作品も一番最後に出てきた二人のカットが非常に良くてもだえました、一彦と季逸の幸せそうな顔もまたいいんだけれど、二人の乳○の絡み具合が!(←ぇ?)
P249のイラストが好きすぎて何度も何度も眺めてしまいます、これを小さく縮小して定期入れにお守りとして忍ばせたい(って何のお守り!?しかも定期って!?)
このお話はリンク作として後2作考えているのだそうです、同じ施設に入所していた人の話みたいなので、おそらく今回登場した弁護士の実咲と施設にいた時に唯一、一彦の憧れで、しかし途中で施設を脱走しヤクザになっていた『彼』…清馬(せいま)がそれぞれの話の中で出てくるのでしょう、今回登場したけれども二人とも挿絵で顔が出なかったのはリンク作ということで絵師さんが変わるから変な先入観をイラストでつけたくなかったからなんでしょうね~
なんて思って次回その二人の恋物語もまた楽しみだったりしています。
未然の恋 (リンクスロマンス)
著者/訳者:柊平 ハルモ
出版社:幻冬舎コミックス( 2008-07 )
定価:¥ 898
単行本
ISBN-10 : 4344813790
ISBN-13 : 9784344813793
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