- 2005-08-27 (土) 17:54
- BL小説(作家名・ま行) | 水原とほる
歪んだ愛のある世界…
あれは高校2年の夏、園芸部員の大庭保は部が管理する温室の中でタバコを吸っていたのを教師にばらした報いだと上級生達に陵辱されかけていた、そこを偶然通りかかった一つ年下の西村隆明に助けられる。しかし、助かったのだとの思いもつかの間、打ちひしがれる保に向かい隆明が追い討ちをかける様な言葉でなじり始め、そのまま強引に保を抱いたのだ。
隆明はその後、上級生から保を守るとの名目で保に近づき幾度と無く躯の関係を強要してきた。
隆明から離れたくて地方の大学を受験した保は、一時安らかな時間を過ごしていたが、ある日付き合い始めたばかりの女性と一緒に自分のマンションに帰ってき所で、前に現れた背の高い男を見て愕然とする。それは保が忘れたくても忘れる事の出来なかった相手、隆明本人だったからだ。
保の脳裏に忌まわしい過去が蘇る。
――二度と会いたくなどなかったのにと……。
「誓約のうつり香」や「キャンディ」でSMのその世界感にちょっと憧れるとかうっかり書いてしまった私ですが、甘かった…これはそんな世界をも超越しているようです。
近親相姦あり、強姦あり、SMあり鎖や首輪やら浣腸やら、なんだかありとあらゆるものがぎっしりと詰め込まれた、アップアップして息苦しくなりそうなくらい濃ゆい世界でした(笑)
表題作の「窓」は執着の物語、一度抱いた後忘れられなくなったのか、執拗に保を追いかける隆明、離れたと思ったのにまた追いかけられて、そのたび「お前は俺のものだ」と躯の関係を強要される。
しかし、突然別れを告げられそうになり、暴力により屈服させられているのだとずっと長い間思っていたが本当は一番彼を求めていたのは自分だったのだと気づかされた保、終わりは以外にあっさりしていた気もします、ハッピーエンドって事になるのでしょうか?それでもやはり歪んだ関係である事には変わりないような気がしました。
攻めの受けへの執着が異常なまでに強い話が多いです、特に血の繋がった叔父と甥の物語「温い血」甥の和己が叔父の愛情を確かめようと軽い気持ちで他の男と寝てしまった事を知った後、怒った叔父の豹変ぶりが一番怖いよ私…。
はっきりSMだと言えるのは「秘密」でしょうか?
ゲイで恋人同士だけれど、抱き合う事はないタチ同士で「S」のふたり、その二人から受ける行為に嵌ってしまった少年、薫の物語です、タチ同士の雅弘と公一はお互いに躯の関係は無いけれど、同じ人間を共有し各々の形で関わる事で自分たちの愛情を確認しあっているのかな?
支配される側は二人から施される行為によって愛情と言うか喜びを感じているようですが、彼らの愛情は薫にも注がれているのでしょうか?複雑だ…。
「黄色い花」は収められている4作の中で唯一暴力描写の無い作品です。
お互いに躯を繋げる事で愛情を確かめ合い一線を越えてしまった叔父と甥の「温い血」に対し、一線を越えぬ事で息子への愛情を示し、その想いを全て自分の作品に注ぎ込んで表現しようとした画家の義父、一見プラトニックラブともいえる世界ですが、その親子の元に偶然取材に来る事になった隆一という美大生が関わる事によって各々の思惑が複雑に絡み合い、画家の水口とその養子である旭の妖しくも不思議な関係が浮き彫りに…。
二人の間にあるのは肉親のもつ強い絆なのか、それともそれを超越した愛情なのか…彼の描く絵は一体何を物語っているのでしょうか、実際にこの目で確かめてみたい気がします。
なんだか妖しくも恐ろしい世界だと思いながら、この独特の世界観に痛い、痛すぎると、引くことも無くむしろ引き込まれるように一気に読んでしまっているいる自分が一番怖い…。
はぁはぁ……苦しい…バタリ(←気絶)
しかし彼らはこの閉ざされた世界にいても決して不幸ではないのですよね?
むしろそこに居る事で相手に愛され、満たされて言いようの無い幸福を感じているのだと思う、私たちにはとても理解しがたい幸せだけれど…。
BL初心者の頃に読んでしまったら引いてしまいそうな内容なんですが、今の私なら大丈夫…
水原さんの他の本もやっぱり読んでみたくなりましたよ、sさん本気でお願いしても良いですか(だ縲怩ゥ縲怩鈬怐j
この痛さが大丈夫なら木原さんももしや大丈夫?
一度チャレンジしてみようかな(苦笑)
それにしても、随所に配された奈良さんの挿絵に悶絶状態でした、素敵、素敵なんだけど、でも…殆どがエロシーン(しかも甚振られているような物ばかり…)というのがこの本のすごさを物語っているような気がします(汗)
邪魔な台詞がなけりゃもっと良いんだけどな…、なぜふきだし付きなんですかね?
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Comments:6
- アキ 05-08-28 (日) 14:10
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こんにちわ縲彌n
どれもこれもが息苦しいお話ですよね。
私のお気に入りは「秘密」だったりするんですが、これはこの先どういう風に3人の関係が変わっていくのかなと、この奇妙で危ないトライアングルが崩れる時、誰がどんな執着心を持つのか知りたーいって事で。木原さんとは違った種類の痛さだと思いますが(水原さんの方がJUNE風味って感じです)何事もチャレンジですよお。
- Jura 05-08-28 (日) 17:56
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アキさんこんにちは
この間教えていただいたサイトほぼ日参中(笑)
ありがとうございます。「秘密」
一番SMぽい作品ですよね、二人のSに調教されて行く一人のMって感じの話でしたが、同じSはSでも嗜好性には若干違いがあるようなので今は3人でいい感じ(?)を保っていると言う気がしましたが、そのうちどうなるかはわからないですものね?確かに今の関係が崩れたとき誰がどういう風に執着するかは見てみたい気がします。
木原さん…まずは「Don’t Worry Mama」当たりから……って、かなりへたれ(苦笑)
- suzuya 05-08-28 (日) 20:34
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こんばんは、Juraさんv
とうとう読まれたのですね!ホントに息苦しくなるくらい濃い本だったでしょぉ(笑)これが大丈夫なら水原さんの他の二冊も大丈夫です!楽勝です!
私のお気に入りのお話は実は「温かい血」です。一見普通っぽく見える叔父さんの裡にある、秘められた狂気がツボでした。小悪魔に魅入られた叔父さんの行く末が気になります。
木原さんは…何がオススメかな?執着物が大丈夫なら「LOOP」かなぁ?アレが大丈夫なら、大抵の木原さんは大丈夫な気がします(笑)
- Jura 05-08-28 (日) 22:41
-
suzuyaさんこんばんは
酸素ボンベ欲しいくらい息苦しかったです(笑)
でもその濃さを上回る文章力って言うか、一度
読み始めたら止まらなくなりましたね。「温い血」は確かに子悪魔くんでした、あそこまで
叔父さん狂わせる甥…すごいです。
最期はしっかり受け入れちゃってますからねぇ…
二人の行く末…ブルッ(冷や汗)木原さんお勧めと聞くと「LOOP」上げられる方
多いですね、記憶喪失物でしたっけ?
読んでみようかな縲怦モ外と大丈夫かもしれないと
最近思い始めました。メール後ほど送らせていただきます
ではでは。 - 凛 05-09-16 (金) 0:28
-
読みました縲怐B
最初のカラーイラスト、肌色が多い!。でも、一番濃いのはやっぱり夏陰かなー、とか思いつつ。
確かに、BL初心者だとこうもすらすらとは読めなかったかも知れないです。でも結局、戸惑うことなく、眉間に皺がよりつつも、読んでました。ほんとそんな自分、が一番恐いかも縲怩ニか思いつつ。
で、ここで皆さんが書かれている、木原さん、も気になります…
またまた濃い作品を書かれてる方、なのでしょうか? - Jura 05-09-16 (金) 16:40
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凛さんこんにちは
窓読了お疲れ様でした(笑)
>一番濃いのはやっぱり夏陰かなーあはは、私にはどっちもどっちでした(笑)
私はこっちの方は全然眉間にしわ寄りませんでしたよ、なぜでしょうね…
何のためらいも無く最後まで読んじゃったもん^^;)木原さんの書かれる話は濃いというより、痛いとか救いようが無いとかそういう部類みたいです。
比較的ヌルそうなのから読んでみたいと思ってますが、まだ手を出せてません。ひちわさんのジャンクシリーズが終わったあたりから読んでみようかな。
ではではコメント&TBありがとうございました。
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- 窓 ―まど― 【水原とほる/奈良千春】 from 詞の音
- trackback from 80-one's! 05-08-28 (日) 14:11
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ka〓〓ト案崙ォ
酸素隊出動要請
ピアスノベルス・マガジンマガジン
高校の夏休み、保が上級生に襲われているのを助けた隆明だが、彼はそのまま保を強姦する。彼から逃げるように地方の大学に進学する保だが、ある日自分のマンションの前で隆明と再会する…。
表題作・窓他3篇収録。奈良千春さんの雰囲気のある表紙に満足して、ページをめくる。
ぎゃああぁ
何じゃこの口絵は!うっかりオットの隣で開いちゃったじゃないか!
そういや奈良さんには「エス」の口絵でもやられたよ…学習能力のない私だ。とても読み応えのある短編集でした。
ピアスだけあって描写は相当ハード。
強姦、調教、視姦に近親相姦と、挙句の果てにスカ●ロなんかも出てくるけど、そんな設定を蹴散らすほどの息苦しい執着と妄執に満ち満ちた世界が広がっています。【窓】
もうこの攻である隆明の執着ぶりが怖くて怖くて、こんなに怖い攻を読んだのは「LOOP」の州脇以来です。
このお話、ラストはハッピーエンドっぽいんだけど、私には保が池上とキスしているのを隆明に見られた後の出来事で、保の中の何かが壊れてしまったんじゃないかと思いました。
壊れてしまったからこそ、隆明と一緒にいられるみたいな。
その狂気の世界から脱け出す鍵を一旦隆明から渡されても、自分から窓を閉めてしまった保はこれからも自ら隆明に囚われたまま、幸せな日々を過ごすんだろう。【温い血】
ごめんなさいごめんなさい、キャンディで飼われるのもいいかもなんて書いた私がぬるかったです。
叔父と甥のお話で、甥の和巳の誘い受けっぽいところがまぁ未来の女王様受候補{/hearts_red/}な感じだったけど、叔父はそれ以上にしたたかでした。
些細な誤解から浮気してしまった和巳をお仕置きする叔父ですが…すごいっす。
こちらの執着心も隆明といい勝負でした。【秘密】
高校生の薫は宗教画に感情を高ぶらされるが、それがどういう意味を持つのかわからないまま出会ったカップルに自分の性癖を暴かれていく。
このカップルというのがサディスト同士のタチなのでお互いにセックスは出来ない、代わりにお互いのセックスを通して愛を確認しあう…って感じかな?
そんなふたりに徹底的に調教されていく薫がやがて全てを見つめる瞬間に、自分を磔にされたキリストになぞらえていくところが色っぽくて。
ラスト、このふたりの仲に薫は入っていくんだけど、それがプレイ仲間としてなのか、それとも本当に愛されてなのか、考えちゃうところもあったけど(サディストカップルが本当に愛し合っているのがわかっているだけに)、読後感は良かったです。
調教好き(?)の私としてはもっと長編で読みたかったな。【黄色い花】
気難しいと評判の日本画家・水口とその養子の旭、水口を取材に来た美大生の隆一のお話。
日本画の世界はエロイってことで(ヲイ)
隆一は淡々として閉じられたふたりの世界を垣間見るけれど、結局は水口と旭の間には誰も入れない。
自分の絵の為に旭を隆一に抱かせる水口だけど、それも代償行為なだけで決して3人での未来はなくって。
やがて散っていく一瞬の花、永遠に残るうつくしい絵。
永遠に交わることのない水口と旭のような関係でした。お話、全てが濃ゆいです。生半可に寝っころがって読んでいたけど、思わず座りなおしてしまいました。
読了後、肩で息してたような気すらします。
奈良さんのイラストがすごく良くってお点アップ。ただひとつ、コマ割りはいいけど台詞入れるのやめて縲怎sアスってみんなこうだよね?今回WEB拍手上でリクエストいただいた本の感想でした。
Kさん、遅くなってごめんなさい。未読の作家さんでしたがとても面白かったです。
またお勧めありましたらよろしくです縲怐B - trackback from plastic-paradise 05-08-28 (日) 20:23
-
窓
【窓】
水原とほる / 奈良千春
ピアスノベルズ俺たちは虐げる愛しか知らなかった
【あらすじ】
高校2年の夏休み。誰もいない学校で、不良グループに絡まれ辱めを受けていた大庭保は、偶然通りかかった1年生・西村隆明の機転により助けられる。しかし、屈辱にうちひしがれている保に、なぜか追い討ちをかけるような言葉を浴びせ、力づくで躯を繋ぐ隆明。以来卒業まで、隆明に命じられるままに保は己の躯を捧げ続けることになる。大学進学を機に完全に切れたかに思えた隆明との関係。だがある日、保は自分のマンションの前に佇む大柄な男の姿を確認する。それはまぎれもなく、もう2度と会うことはないと信じていた隆明であった…。表題作のほか『温い血』『秘密』さらに書下ろし作『黄色い花』を収録。激しく切ない4つの愛のカタチ。『夏陰』『箍冬』が大ヒット中の著者待望の短編集。【ここがツボ!】
うわあッ!これって「パンドラの箱」じゃないですか?
なんか、すごい本を読んでしまいました。ぜえっ、ぜえっ。先日「誓約の移り香」のコメントで「オススメのSMものはありませんか?」と尋ねてみたところ、たくさんの作品を紹介していただきました。ホモ小説にSMというカテゴリーがあるのを初めて知りました。世界は私の思っているより遙かに広くて深かったようです。
というわけで、この「窓」ですが・・・。ピアスノベルズだけあって、収録されている四篇すべてが物凄く「濃い」作品でした。簡単な説明だけしてみるとこんなラインナップです。
窓
9年間にも渡る執着モノ。いきなり「ホースで浣腸」には驚きました。高校生って怖い。いや、本当に怖いのは「浣腸」ではなく「攻めの執着」でしたが。でもラブな物語でした。温い血
叔父と甥っ子の、これも執着モノかなぁ?でも「首輪」とか「浣腸」とかのおしおきがあるので、微妙に調教モノかも。若くてキレイな王子様受けが、優しくて自分を甘やかしてくれると思っていた叔父に「まさか」のおしおきを受けるお話。にっこり笑って、凄いコトする叔父さんがステキ。秘密
これは、ズバリのSMでした。何も知らないイタイケな高校生がめくるめく調教の世界へ・・・。初心者にはかなり痛いかもしれない作品。でも、すごく正統派な「SM」だと思いました。読んでて思わず「そうそう、これこれッ!」とうなずいてしまいました。黄色い花
私くらいの世代が「耽美」って思うのは、こういう作品だろうなぁ、と思うような世界。「日本画」とか「美少年」とか「近親相姦」とか。溜息が出るような美しく、切ない物語でした。もう、何が怖かったって、この本を「ハァハァ」しながら大喜びで読んでいる自分が一番怖かったです。こんなに内容が濃い本、久しぶりに読んだ気がします。
という訳で、後はいつもの与太話です縲鰀
- trackback from my lovers@another side 05-09-16 (金) 0:23
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窓/水原とほる
活字モノのBLは、
一応、まだまだ初心者、なのに。
もう、どうしてくれよう… と。
この窓を読んだ後、他作家さんの他の作品を読んでみたんですが、
な、何だかそれほど感じるモノ、がない気が…
感度が麻痺、してるかも知れません。
ほんと、この、窓という作品。
水原さ - trackback from にゃんこのBL徒然日記 06-04-17 (月) 17:11
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窓
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好きになったらどっぷりつかる、にゃんこです。
現在水原とほる - trackback from ゲイ&腐男子のBL読書ブログ 06-06-29 (木) 23:56
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『窓』/水原とほる(奈良千春)
さすが梅雨時、今日もどんよりとした雲+雨で
ムシムシとしていますが、私は通常営業で
BLを読み耽っております。雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌBLヘノ愛ヲモチ…
ソウイウモノニ ワタシハナリタイ。
…ごめんよ宮沢さん、パクリました。さあて今日は痛いと評判の水原とほるさん作、
今は亡き小説ピアス掲載作3作と
書き下ろし1作の短編集『窓』です。
はっきり言って色々と濃いので
痛いの苦手な人は先に進まないで下さい…。





