- 2005-09-05 (月) 19:17
- BL小説(作家名・あ行) | 榎田尤利
何時もと同じ一日のはずだった、雪の残る二月はじめのある日、普段とおなじように学校に向かう浩一と満の元に一台のトラックが突っ込んできたのだ――
浩一は突っ込んできた2トントラックの体当たりをまともに食らった、180以上ある長身の浩一の身体が物の様に宙を待ってアスファルトの上に落ちる、目撃者は誰も居なかった、運転手は恐れをなして逃げて行った、残された満の目の前で浩一の身体から流れる血で雪が赤く染まっていた。
余りにも突然の出来事に翻弄されながら、お互いの気持ちをしっかりと確かめ合った二人、けれどもそんな二人にも現実は、抗う事を許してはくれなかった…。
やられた、なんて悲しい話なんだろう、そしてなんて優しい話なんだろう…。
死んだ人間が目の前で生き返る…ばかげてる、在りえないとどこかで思いながらこの出だし少しコミカルな話を笑い飛ばす事など決して出来なかった…。
物語の半分ほどよんだ位から泣けて泣けて仕方なかった、彼らの悲しみを思って…死体が生き返るなんてコメディタッチの始まりでも結末がどうなるかなんて分かりきってる、残酷だと思った、残酷すぎる…なのに、それでも彼らは懸命に生きている、生きようとしている。何時終わるとも知れない明日に向かって。
辛くなって何度も本を閉じた、これから来る終幕を思って、本を読んでいないときでも別のことを考えてまた泣けてきて参った。
過去こんなに泣けるBL小説を読んだ事があっただろうか、こんなに切なくて悲しいHシーンなんて見たこと無くてまた泣いた。
人が生きていくうえでその人の身の上に起こる出来事は全て意味のあるのものだと思っている、悲しみも苦しみも、もちろん喜びも、ただ一つだけ理解出来ない出来事、それは「死」だ、人はいつかは死ぬ、どんなに抗ってもそれは訪れる。
それは分かりすぎるくらいに分かっている、老衰や病死ならまだ納得が行く、いつか訪れるその日に向かって心の準備もできるだろう、でも「急死」というものだけは自分の許容範囲をこえている、余りにも唐突に来る理不尽とも思える出来事、なのにそれは現実で…
昨日まで生きていた、確かに其処に存在した人
なのに、どうして今は居ないんだろう、どうしてあの人で無ければならなかったんだったんだろう――
この悲しみの意味するものは何だろう?
神様は私にいったい何を教えようとしてるんだろ?
命の尊さ?それとも生きている事のありがたみ?
どちらもでもあるようで、どちらでも無いようにも思う。
人が死ぬ、事故で病死で或いはもっと酷い時には誰かに殺される…そんなニュースを見るたび「死んだ人は良いよね、もう何も考える事も無く苦しまなくてすむんだから」と少し投げやりともとれる呟きを漏らす義母、彼女の連れ合いは10年ほど前に亡くなっている、義父の顔を私は写真でしか見たことが無い、残されてしまった者の悲しみを彼女はどうやって乗り越えたのだろう。
たぶんその時の本当の気持ちは彼女にしか分からない…。
残されるものの悲しみと、愛する物を残して逝かなければならない者の悲しみ、どちらが重いなんて絶対言えない、そう思わせる優しくて、そして悲しいお話でした。

永遠の昨日/榎田尤卯利(ill 山田ユギ)
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Comments:2
- suzuya 05-09-06 (火) 21:19
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こんばんは、Juraさん。
とうとう、読んじゃったんですね、禁断の書を・・・。
もう、泣けて、泣けて・・・。
私も読んでからしばらく、この物語のことばかり考えてしまいました。
生きることと、死ぬこと。当たり前なんだけど・・・。
何かこう、やりきれない作品でした。 - Jura 05-09-06 (火) 22:01
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suzuyaさん、そうなんですよ縲恣ヌみ進めながらこれから先に読んでしまった事を後悔してしまいました(笑)
生と死が絡んだ話だと知ってはいましたが、出だしで余りにも意表突かれたためにまさかこれほどまでに泣ける話だとは思いもよらなくて読むのが途中で辛かったです。
この間答えた100質で「BLで泣ける話はなんですか?」と言う質問がありましたが、それまでBLでこんなに泣ける話を読んだ事が無かったので、これだな…これ以上泣ける話があったら私に教えて…なんて事も思ってしまいましたね。
でも、悲しかったけど良かったです、いっぺんで榎田さんのファンになっちゃったって気分、でもなんとなく「聖夜」はまだ読めません^^;)
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- trackback from plastic-paradise 05-09-06 (火) 21:15
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永遠の昨日
【永遠の昨日】
榎田尤利 ★ 山田ユギ
クロスノベルズきっと同じだったよ。
おまえと同じことをした。
一緒に事故に巻き込まれなかったことを喜んだ。
おまえがこのあとも幸せに生きてくれるように祈った。
そして最後にもう少しだけそばにいさせてと、強く、願った。【あらすじ】
いつもと同じ朝、同じ一日・・・のはずだった。雪の積もる道を学校へ向かう満と浩一のもとに、一台のトラックが突っ込んできた!不条理な日常に翻弄されながらも、かけがえのない想いを確かめあうふたりだったが・・・。」
大人気榎田尤利の新境地、衝撃の学園ラブストーリー!【ここがツボ!】
あああ・・・・・・。榎田先生の物語はいつも物凄い強烈な余韻を残します。この作品を読んだのはずいぶん前なのですが、今でもふとした弾みに色々考え込んでしまったりします。とにかく、泣きました。自分でも吃驚するくらい涙が止まらなくて、今でも思い出すだけで涙が滲む(笑)物語の最初はむしろコメディ!?と思わせるような「死んだはずなのに、死んでいないぞ!?ゾンビ高校生」なお話だったのですが、もしも自分の一番大切な人が本人に何の非もないような事故で突然亡くなってしまったら・・・。
私には息子がおりますが、その息子が三歳の時に飼っていた犬が亡くなりました。まだ“死”というものが理解できない息子に「しぬってどういうこと?」と問われた時、私は「どんなに会いたくても、もう二度と会えないということ」と答えました。正しいかどうか分からないけれども、私の感覚の中ではこれが一番近いかな、と思っていたので。息子は「もう二度と会えない」という事が怖くて、悲しくて、それからしばらくの間ふとした瞬間にそれを思い出して泣き出したりしたものです。大好きな人に、もう二度と会えない。一緒にいて笑ったり、喧嘩したりして過ごした時間が全て思い出になり、そこから先にはもう何も生まれない。そんな絶望的な状況でも、残された者は生きてゆくのです。
主人公の満は大好きな浩一の死が受け入れることができず、昔最愛の恋人を事故で失った高校教師に問う。
「—先生、質問していいですか・・・・・」
「いいわよ?」
「そんなに好きだった人が死んでも」
取り残され、胸が張り裂けそうに悲しくても
「・・・・・・・残された人はやっていけるもんなんですか?」そして、幼い自分を残して最愛の妻を病気で失った父に問う。
おれは聞きたかった。
お父さん。どうしたら、そんなふうに強くなれるんですか?死は須らく平等にやってくるとか言うけれども、やはりそれはうそだと思う。百歳まで大きな病気一つせずに大往生と言われて亡くなる人もいる。生まれながらにして身体に障害を持ち、ガラスのケースの中でたった数時間しか生きられなかった赤ん坊もいる。浩一のように自分には何も非がないにも関わらず交通事故で亡くなる人もいる。これが平等とは思えない。
辛くて、悲しくて でもそれだけじゃない。
失うことがこんなに辛い存在に出会えて、愛されて、それは悲しみのためじゃないはずだ。
正直、今は心からそうは思えない。世の中のすべてを罵倒したいくらい辛い。どうしておれだけが、どうして浩一だけが。こんな運命ってあるか。与えられて奪われる悲しみをどうやって癒せと言うのだ?
それでも
こんなに辛いなら出会わなければよかったとは、思いたくない。否定したくない。
母親がおれを生んでくれたこと。
浩一がおれを好きになってくれたこと。
出会って、別れて、同じ時を過ごしたこと。「生」とか「死」とか、なんか凄く考えさせられる作品でした。
こんなに何度も読み返した本も珍しいです。
是非、ご一読をッ!!!




