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聖夜/榎田尤利 illust 山田ユギ

あの想いが恋なのかなんなのかあの時の自分には分からなかった……

17の秋、胸の中に言い表しようの無い思いを抱えたままそれを上手く告げることも出来ず最初に訪れた別れから10年……。

縞岡は婚約者に付き合ってしぶしぶやってきたマンションのモデルルーム展示場で偶然、長い間忘れる事の出来なかった相手、雨宮 那智(あまみや なち)に再会する。懐かしいその面影に甘く切ない思い出は簡単に当時17歳だった自分の中の記憶を呼び覚ましてしまうが、既にお互い新しい相手が居る故に捨てられない物も多く、過去に続く想いだけに翻弄されてしまう事になる。

気づくのが遅すぎた自分の想い、二人の恋に未来など無い様に思えたのだけれど……。

2006年始めての更新は榎田尤利さんの「聖夜」です。
帰省中の車の中で、横でちびが爆睡中なのを良い事にほも本を読む母^^;)
しかも新年そうそうパソコンがぶっ壊れました(T-T)
なぜだ縲怩ネぜだ縲恃N末に酷使しすぎたのでしょうかね、ほもで…(笑
自分用に使っているノーパソの方です、リカバリしてなんとか動く様になり、とりあえずネット接続は可能のですがウイルススキャンのソフトがまたで守りの一切ない無防備状態なので恐ろしくてネット海でうろうろ出来ない……多分今夜あたり相方が会社からウイルススキャンソフトをこっそり借りてきてくれるでしょう……^^;)
買えよそれくらい!とか毎回思うのですがお金出すのは私じゃないのであはは…と笑ってごまかします、すいません(汗
しかもリカバリ後で私の大好きなOpearブラウザが使えない縲怩、えーん!

と、そんな個人的なことはどうでもよくって…読んで最初の感想……
以外に普通の話しだったな……ははは。

いや、すごく好きなんですけど何ていうかこう……前回読んだ「永遠の昨日」よりは胸に響くものが少なかったというか、木原音瀬さんのCOLDシリーズを読み終わった直後に読んだからとも思ったのですが、それよりも読む前の前評判というか、人から「いいよ縲怐vって何度か聞かされていたので自分の中でこの話しに対する期待と想像が必要以上に膨らみすぎていたからかもしれません。

受けが薄幸の美青年……というストーリーは結構多いですよね、この話も例に漏れず、雨宮那智(通称アマチ)が薄幸と言う設定ですよね、父親が酒乱でそれに母が耐えられなくて離婚する、それが17歳の時の二人の別れに繋がっているのですが、そのあとも、アマチがゲイだという事がばれて母親が再婚相手とうまく行かなくなったり、再会した実の父親は昔酒乱だったころの面影も無いくらい丸くなっていたけれど癌を患っていて再会してすぐになくなってしまったりといろいろまぁあるのよ……。

この話読んでいて思ったのですが、これって……縞岡(通称シマ)がある意味すごく酷い男なんですよね、残酷と言うか。

シマは攻める男ではなく、どちらかと言うと守りの男だと私は思う。
最初の別れはまだ高校生で、若い二人にはどちらもどうする事も出来なかったというのは分かるのですが、なんかもっと方法なかったのかなとも思います、なのにそのくせ10年後に大人になった二人は運命の悪戯ですよね、偶然再会してしまってお互い相手が居るって分かっているのに自分の想いに気づいたからってそこでそんな事いうかねシマ君!

アマチにしてみたら初恋の相手にそんなこと言われて嬉しくないわけ無いんだろうけど、だからってどうせぇっちゅうんだよなぁやっぱり酷いよシマ君…なのです。

でアマチの方も薄幸なのでいろいろ臆病になっているから守りに入ってて、双方そろって誰かを傷つけたり自分が傷ついたりするのが怖くて守ってばかりだからなかなか先に進まないんですよね、でもこれって人間の心理としては普通の事なのかなもしれませんよね、シマもアマチも再会したころには分別のつく大人になってて、自分の現在の相手もやっぱり自分にとって大切な存在だからそれをぶち壊してまで昔の恋を全うするなんて出来なかったのだろうと思う。たぶん今更…って感じだったのでしょうし、もしも自分がどちらかと同じ立場だったとしても同じような道を選んでいただろうとそんな風にも思います。

シマのことを煽るだけ煽っといて結局はアマチを捨てる事になった俊樹の出した結論もあれはあれで仕方なかったのだろうな、捨てたというよりは俊樹の方が自分との柵に苦しんでいたアマチの事を「もういいよ」と解放してあげたという印象がすごく強いです。あの時シマではなく俊樹を選んだアマチには気の毒な形だったけどだからこそ最終的には本当に大切だった人と結ばれたわけだしね、俊樹の存在が無かったら多分シマは自分のアマチへの想いに気づくことも無く(というよりもきっと気づいても気づかない振りをしたまま婚約者と結婚してうまくやってたと思います)一生を終えていたでしょうよ、きっと^^;)

愛するが故の決別、きっとあの時彼はそうする事が結果的にはアマチの幸せにつながるのだと考えたのではないでしょうか。
俊樹の存在なくしてはこの二人は結びつかなかったのじゃないかなとすら思えますから…。

最初の別れから2度目の再会まで20年……
2度目の再会は偶然でもなんでもなく、自分の気持ちに正直になったシマの取った行動が引き起こした必然とも言える再会でした。
長い長い回り道だったね、でもきっと二人にとっては必要な20年だったのではないかと思えます、あの20年間があったからこそきっとこれから二人は大切な人のそばに居られる幸せをかみ締めながらすごすのでしょう。そうであってほしいですもん、本当に……。

しかしまぁこの表紙の二人
どっちもちゃんと服着ててHなイラストでもないはずなのになんですかねこの色気は…(笑)
最初アマチの着ているものがバスローブとかに見えてドキっとしたのですが、よく見るとトレンチコートじゃん!おまえの目が腐ってるって突っ込んどきました

で、毎回思うのですが、山田ユギさんの描くHシーンって受けが普段より必ず10歳以上若く見えるんですよね、なぜなんでしょう?

TB企画で2005年ー2006年の行く年、来る年ってやってるみたいだけど、これ確か帰りの車の中で読んだから木原さんの「COLD FEVER」が行きの車の中で読み終えた行く年なら、これは2006年初読みの来る年かな?
聖夜
聖夜/榎田尤利(ill 山田ユギ)

Comments:8

06-01-05 (木) 18:14

Juraさん、あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します!

私もこれ、読みました、文字通り、”聖夜”に。
でも、タイトルからは、とても想像できない長縲怩「年月が描いてあるお話で。何だか、意外でしたね。
でも、途中、アマチは俊樹とこのままでいればいいのに、と思えたし。シマも、きっと普通に幸せな家庭を築いてるだろうな、と思って、二人が再会する必要、がなさそうだったんですけど。
アマチの不幸っぷりからすると、彼を本当に幸せにしてくれるのはシマだけなんだろうな縲怐Aとも思いつつ。
水原さんの新刊、を読んだんですけど、あれも、長いんですよ、20年弱、の時間が流れてますので。
でも、あっちとは違って、ちゃんと二人が一緒にいれて終わってるのは救い、だな、と思います。

表紙もですが、あの裏表紙のカラーイラストが結構、エロくて。ほんと、値段が書いてある所に、肌色率の高いイラストをのっけるのはやめて欲しいです…

[永遠の昨日」あっちこっちで泣ける作品だと聞いてるので、そっちも是非読んでみたいです!
それに、木原さんのCOLDシリーズ。1冊目のSLEEPだけ持ってまして。今年は残る2冊も手に入れて読みたいです縲彌n
では、お邪魔致しました!

Jura 06-01-05 (木) 19:12

凛さんこんにちは
あけましておめでとうございます、今年もよろしくです♪

>でも、途中、アマチは俊樹とこのままでいればいいのに、と思えたし。シマも、きっと普通に幸せな家庭を築いてるだろうな、と思って、二人が再会する必要、がなさそうだったんですけど。

ハッピーエンドだということは聞いていたので、このまま終わりはしないだろうと思ってました、だとするとああいう結論にしかなりませんよね縲彌nでも、私シマの気持ちが桃子からあのまま離れちゃって結婚はしないんじゃない?と思ってたけど、結局するのね。
父親って実際問題子供と別れるってどういう気持ちなんだろうななんて現実的なことも考えてしまいました(笑

アマチの場合シマと一緒にならないと結果的には幸せにはなれなさそうだからあれで良かったんでしょう。

「永遠の昨日」
あれは意外と好きと嫌いの意見が結構分かれる話かもしれません、私は好きでしたけどね。

COLDシリーズあれはぜひ最後まで読んでくださいませ、私は最終巻が一番好きです。

ではでは

秋月 06-01-05 (木) 21:55

Juraさんこんばんは。
受けましてホモおめでとうございます? <う縲怩A苦しい!

シマが酷い男だというのは確かに、ちょっと、そうですね同感です。1章のラストで「今ここでそれを言うのか」とほんとに思いましたもん。
Juraさんが指摘されてた”双方そろって守りに入る”というの、確かに、お話のなかとかでなく現実だったら、それで普通かもしれませんね。大人は守りに入っちゃってなかなか冒険も挑戦もしなくなります。
あ、だからサンタクロースが来たんですかね? 二人のところには?
大人っぽい分別を捨てて、シマがアマチに会いに行ったから…。
う縲怩AJuraさんの感想を拝見して、面白いことに気づきました。ありがとうございます。

「COLD」シリーズ読まれたんですね。私も最終巻が一番好きです。…あの、ヒドさかげんが(笑)

Jura 06-01-05 (木) 23:13

秋月さんこんばんは縲彌nあんなおかしな挨拶を受けてくださってありがとうございます、嬉しいです(笑

>シマが酷い男だというのは確かに、ちょっと、そうですね同感です。

なんだかね、私には酷い男に思えて仕方なかったですよ、出来ないって分かってるのに今ここでそれを言うか…と言うなら貫き通してほしいなんて、こっちの勝手な心理なんですけどね^^;)

二人が守りに入って言うのも、これを架空のお話だと見ると、どうしてもっと攻めて行かないんだとか(特に攻めだけにシマに←オイ!)やっぱり勝手なことを考えるんですけど、現実的に見たらあの行動は普通のことなんですよね、冷静に考えると自分も同じ行動パターンたどうるだろうな…なんて(笑

どちらかに相手が居なければ納得できない行動なんですけど、二人とも守るべき者が居たりするのでなおさらですね。

だからラストはほっとしました、これからの二人でもあるのでしょうけど、一緒に居る事の出来ない時間が長かった分だけ幸せな時間が長く続けば良いなと思います。

COLDシリーズ最終巻が好きだなんて人格疑われるかしら?とか思ったりもしたのですが、なんだか好きですね、酷いと思うんだけど、酷いことをしている透自身がとても辛そうだし、足掻いているのが分かるから酷さを感じないと言うか^^;)

なんだか何度も何度も読み返してしまいます、理不尽さだけを感じて読み進められない話の方も中にはあるのになぁ

コメント&TBありがとうございました
ではでは

shite 06-01-06 (金) 2:13

コメント&TBありがとうございました。
今年も宜しくお願い致します!

「永遠の昨日」人気あるのですね。
ワタクシ「聖夜」の方が読んだ当時、異常反応起こしておりましたが。(笑)今読んだらまた違うんだろうか・・・。

登場人物の人生たどって書いてるところに、厚みを感じたんでしょうかね。感動してました。えぇ。(´エ`)

水原さん作品って読んだ事ないのですが、この方の作品も人気あるのですね。(興味津々)

ではでは、こちらからも、TBさせて頂きまーす!

Jura 06-01-06 (金) 10:13

shiteさんこんにちは
「聖夜」の方を先に読んだらまた違った感想だったかもしれないとも思います、最初に読んだ「永遠の昨日」の方が私には印象強かったのですよね(強すぎたのかも^^;)

でもこの話はこの話しですごく好き。
色々あったぶん二人の幸せが本当に少しでも長く続いて欲しいと思います。

水原さんの話は私には大丈夫なものとそうでないものの差がかなり極端に分かれてしまいました……
最初に読んだ短編集はすごい勢いで読み終えたのですが……もう片方は……最後まで読まなくてももう良いかって位の拒否反応が……なぜ??

でも好きな方には面白いでしょうし、読んで損は無いかも(苦笑)

TB&コメントありがとうございました。
ではでは

suzuya 06-01-06 (金) 21:14

こんばんは、juraさん!

20年という月日が長すぎて気が遠くなりそうな物語でした。この本編で語られなかった何年もの間に、色々なことがあったことは想像できて、特にアマチに関しては、すごいドラマというか修羅場があったのだと想像に難くなく。

>捨てたというよりは俊樹の方が自分との柵に苦しんでいたアマチの事を「もういいよ」と解放してあげたという印象がすごく強いです。

そうなんですよね、アマチの心はシマにあることを知りながらも、アマチを手放すことができなかった俊樹がようやくアマチを、そしてアマチに囚われた自分自身を解放できたのだと思いました。

寒い北海道で生まれた恋が、20年の年月を経て、沖縄という南の島で実ったというのが、なんとも言えない余韻を残した作品でした。

COLDシリーズの感想も楽しみにしていますねv今年もよろしくお願いいたします縲怐I

Jura 06-01-07 (土) 2:32

suzuyaさんこんばんは

本当これは本文中には書かれていないであろう、物語の中でもきっと皆に(特にアマチに…)色々あっただろうなと言う事が容易に計り知れますね。

>そうなんですよね、アマチの心はシマにあることを知りながらも、アマチを手放すことができなかった俊樹がようやくアマチを、そしてアマチに囚われた自分自身を解放できたのだと思いました。

囚われていたのは俊樹も同じということで、あれで二人ともしがらみから解放されたことになるのでしょうね。別れを切り出したのが俊樹だからと言って彼が傷つかない訳は無いし悩んで悩んで悩みぬいて出した結論だと思うのです。
俊樹にも幸せであってほしいです。

>寒い北海道で生まれた恋が、20年の年月を経て、沖縄という南の島で実ったというのが、なんとも言えない余韻を残した作品でした。

あっ!
本当だ、二人の生まれ育ったのは北海道で二人が再会したのは沖縄か、結ばれるまで長くかかったのは年月だけではなく、距離も…
そう考えると尚更すごい話だなぁなんて思っても見たり…。

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trackback from my lovers@another side 06-01-05 (木) 18:03

聖夜/榎田尤利 illust.山田ユギ

17歳の時に別れて以来音信不通だった親友・アマチとの再会は、シマが胸中に封印した恋心をたやすく揺さぶり起こした。恋を無自覚なまま、何度も抱きあった記憶は、10年を経ても鮮やかに存在し、会わなかった期間を取り戻したいというシマの想いは、日に日に高まっていく。
しかし

trackback from 月と凌霄花 06-01-05 (木) 21:33

『聖夜』

聖夜

 榎田尤利/山田ユギ
  笠倉出版社クロスノベルズ 2002.12クリスマスを目前にこの作品を読みました。タイトルは『聖夜』。読み終わった後、ひとあし早いクリスマスプレゼントをもらったような、心にあたたかい重みを感じることができました。
なんとなく「懐かしい」気がするのは、作中で20年という月日が流れているからでしょうか。淡々と、時に深くせつなく、装飾的ではなく、けれどどこか夢心地めいて、時間は綴られていく。1冊のなかにぎゅっと濃縮された17歳から27歳、そして37歳までの20年の歳月を、読むことで彼らの軌跡をなぞり感じ取る。3部構成のうち那智視点である2部「青い鳥」が昭和縲恤ス成にかけての時代背景とともに語られていくため、よけいに時代を感じたのかもしれない。私事ですが、二人にとっての最初のターニングポイントである17歳という年は昭和56年、秋月が生まれた年なので、よけいに昔のことのようで、それで懐かしく感じるのかもしれません。

シマ(縞岡)とアマチ(雨宮那智)は中・高校の同級生で、アマチが両親の離婚によって北海道から東京へ引っ越すことになり、二人は離れ離れになる。10年後、上京して建築士として働いている縞岡は婚約者とともに訪れたマンション展示場で、営業をしている那智――現在の姓は森下――と再会する。偶然の再会に心躍ったのも束の間、二人にはそれぞれ10年ぶん積み重ねてきたものたちが絡みついていて、二人の未来は否応なく分かたれてしまう。縞岡には結婚を間近に控えた愛すべき婚約者があり、ゲイである那智には、彼を選んだがために妻と娘のいる家庭を捨てざるをえなかった寂しい男、上司でもある恋人の内藤がいた。
高校生の時、ふとしたはずみでキスをしたことがある。じゃれあいのようなものだった、恋愛じゃなかった。だけれども、忘れず、残っている思い出。歳月にも褪せず、再会によって再び鮮やかさを取り戻した感情。しかし、感情のままに突っ走るには二人は年を重ね、人間関係を重ねすぎていたのだ…。

アマチは、実は高校生の頃シマに特別な感情、恋心を抱いていました。初恋でした。しかし想いを告げることはせず姿を消し、10年という歳月が経って再会し、幼い初恋が消えずあたたかいままであることを自覚します。マリッジブルー気味のシマと、思いがけない再会にあらぬ期待で胸ときめかせるアマチ。1部「聖夜」ではシマ、2部ではアマチ視点の一人称で描かれ、それぞれの状況と内面が掘り下げられているので、好きでありながら添うことのできなかった経緯を双方向から理解でき、とてもせつなくやりきれなく思いました。恋が、恋単体で存在するのではなく、生活の一部として、自分のものなのに自分一人で片付けられないものだということも、強く感じます。
淡々とした流れにのせているせいで、ドラマティックなシーンはあるのですが、ああ、今自分は過去の物語を読んでいるのだと感じ、27歳の彼らを読んでいるときには知りませんでしたが、後から考えるとさらに10年後の時点から振り返っている、着実に「未来=現在」へと近付いているのだと、読み進めながら考えたりしました。「現在=終着」への期待が気を逸らせてしまい、また20年ぶんの重みを加えるにしてはいささか表層的だったエピソードの取捨が、この作品を、とても素晴らしいテーマやシーンを詰め込んだものと感じさせるのと同時に、急ぎ足の短篇集のように感じさせもして、いささか物足りなく思ったのも事実です。

今でいうDV、酒飲みで暴力をふるうどうしようもない亭主から、那智をつれて逃げた彼の母親は、親戚を頼って上京した後、再婚しますが新しい夫との関係もうまくいきませんでした。理由はひとつではないと思いますが、一つには那智がゲイであると知られたことがあります。義父に軽蔑の目で見られた那智を母親は庇いませんでした。その後、那智は母親とも疎遠になりますが、「自分のせいで母親が幸せになれない」という思いは重くのしかかります。最初の夫、つまり那智の実父と婚姻関係にあったときにも、那智は同じ思いを抱いたことがありました。
那智にとって自分の存在が誰かを苦しめ、不幸にしてしまう、ということは耐え難い苦痛です。自分との関係がばれて離婚、愛する娘との面会も叶わなくなった内藤のことを、那智は全部が全部いい恋人だとは思っていませんが、とても大切で、必要で、大事にしなければならない恋人だと思っています。もちろん義務感のみではなく、那智自身、内藤によって救われる部分があってのことです。エダさんの作品においては主人公らの感情のあり方のみでなく、彼らの周囲で幸せになったり不幸せになったりする、生きて感じ考える人々の心情まで決して疎かにされない。縞岡の婚約者で後に元妻となった桃子や、家族の情に縛られ続けた内藤、那智の根っこに棲みついたままの父と母たちなど、容易な救済措置が施されるほど楽観的ではないリアリティによって描き込まれている。これが物語の厚みというものだろうと思う。
ただ、その厚みのわりにはシマとアマチの感情は「すれ違ってもどかしい」ものの、決定的に分かれるということがない。時間と距離とに隔てられてはいるものの、3部「楽園」でようやく互いを前にしたとき、出てくる言葉は素直なものだ。「聖夜」「青い鳥」「楽園」――抽象的で偶像的な語でもあるそれらのモチーフを効果的に配し、認識論まで持ち出して、物語は一応ハッピーエンドでしめくくられた――ように見える。

20年の時の経過とともに、雪の北国から南の島へ。ドラマティックなお膳立てによって感動的なラストに仕上がっている。だが、本当に大丈夫だろうか? 時が互いの考えをもう若くないものへと変えたかもしれない。けれど、一緒に過ごせなかった時間というものはきっと大きい。人生で最も輝いていた17歳の時を共有した、27歳で一度だけ想いを確かめた、そして37歳――。もうとっくに人間はできあがっていて、これからはなかなか自分の力では変われない。そんな年代だろうと思う。シマの一人称文が年齢のわりに浮ついているのには目をつぶれても、離れていた20年をこれから先、一緒にいることで言葉をかわすことで、埋めていけるなんてそんなに希望どおりいくだろうか。時間だけはたっぷりある? 17歳ならいざ知らず、37歳では現実をいくらでも知っているだろう。
決して否定したいのではありません。言いたいのは、きっとこれからが正念場だということ。20年越しの愛を見つけられたからといって、そこで終わりじゃない。これからずっと、そうずっと、それを育み続けねば幸せでい続けられないということ。ある意味、残りの人生がかかってますからね。幸せを壊してきたもの同士、一緒につくり上げる苦しさも喜びも、きっと疎かにはしないと思う。できないはずだと信じたい。

若く、情熱的なだけが恋や愛じゃない。時間と人生経験とが生み出す重み。シマとアマチのこれからの幸せを願います。

trackback from shite blog 06-01-06 (金) 2:03

聖夜/榎田尤利/CROSS NOVELS/笠倉出版社

壮絶。20年掛けラブストーリー。

もう何から書いていいのか解りません。
人生ドラマです。映画もんです。しんどかったッス。(いい意味で)

17歳の時に別れて以来音信不通だ〓

trackback from plastic-paradise 06-01-06 (金) 19:44

聖夜

【聖夜】
榎田尤利 ★ 山田ユギ
クロスノベルズ

・・・・・・なあ、どこかに
どこかにないのかな。
誰も傷つけなくても、手に入る愛が。
誰も泣かせなくても、手に入る幸せが。

だめだ。
・・・・・・・・・泣いてしまいそうだ。

【あらすじ】
17歳の時に別れて以来音信不通だった親友・アマチとの再会は、シマが胸中に封印した恋心をたやすく揺さぶり起こした。愛を無自覚のまま何度も抱きあった記憶は、10年を経ても鮮やかに存在し、あわなかった期間を取り戻したいというシマの想いは、日に日に高まっていく。しかし、既にお互い別の相手を人生を歩み始めていた二人には、捨てきれないものも多くあって・・・・・・。
切なく激しいアダルトラブストーリー!!

【ここがツボ!】
 どうして榎田先生の作品は泣けるのでしょうか?

 シマには結婚式間近な恋人桃子がいて、アマチには彼のために妻子を捨てた恋人俊樹がいる。
 一度でも結婚式を挙げたことがある人なら思い当たると思うのですが、そこまで進んでしまった結婚話を白紙に戻すのはかなり大変ではあります。でも、どうしてもできないという訳ではありません。シマが本当にアマチと生きていきたいと望めば、たとえ婚約者や親がどんなに泣いてもできたと思います。
 でも、アマチはどうでしょうか?アマチの母はアマチがゲイであるということで再婚相手の夫を失いました。恋人の俊樹はアマチのために妻と娘を失いました。収入も慰謝料と養育費でほとんどが消えるといいます。それでも俊樹はアマチを選びました。アマチは言います「僕のせいで、誰かが不幸になるのはもういやなんだ。」

 ううう、どうなのかな。私は思いっきりアマチに感情移入して読み進めたので、10年ぶりに初恋の相手であるシマと再会して、ずっと好きだったって告白されて、婚約者とも別れるとまで言ってもらえて、一夜だけでも愛されて、それだけで物凄く幸せだったです。俊樹とは別ようとは思えなかったし、逆に俊樹が娘の介護の為に別れてくれと告げたときも、やはりそうすべきだと思ったし。

 俊樹もなんか、悲しかったなぁ。妻子を捨ててまで那智(アマチ)を選んで、でも那智の心には初恋の男への気持ちがずっと残っていて、それでも那智が好きで、どんなに必要とされていても、いつもその事がひっかかってて。那智は本当に俊樹を必要としていたのに、それを信じられなくて。

 シマはなぁ・・・。一番正直な人間だと思います。アマチとの再会の後の桃子への態度とか苛立ちとか、物凄く分りやすい。後に妻の仕事とか子供の送り迎え等のことで離婚したというのも、シマらしくて納得できる。結局いくら妻や子供を大切にしていても、心の底から愛しているのはアマチだけなんだなぁ、と。すごく鈍感でズルイ男。

 第一部“聖夜”、第二部“青い鳥”でやりきれなくてボロボロ泣いて、第三部“楽園”で嬉しくて泣いた縲怐I

あああ、榎田先生好きだ縲怐iうっとり)

ついでに第三部の舞台になった沖縄がとても素敵でした。私も沖縄が大好きです。本当に太陽の光が強烈で、影の色が濃いのです。あああ、また生きたいなぁ・・・。

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