- 2006-02-28 (火) 14:17
- BL小説(作家名・あ行) | 英田サキ
なんだか、もう読みたい本が沢山ありすぎてどれから読もうか迷ってしまうんですけど、借りた本から消化しようと思いつつ、「エスー裂罅ー」が手元に届く前に読んでしまえ!と数十ページほど残っていたのを慌てて読みました。
白泉社の花丸文庫って今まで読んだ事が無くて英田さんのこの本で2冊目なのでカラーがいまひとつつかみきれません。
取引先の部長に襲われそうになり相手を殴ってしまった幸村匡樹(ユキムラ コウキ) 怪我をさせた事を理由に契約を白紙に戻されただけでなく、左遷までされてしまった。なのに彼の不幸はそれだけでは終わらず今度は住んでいたアパートが火事になり焼け出され住むところまで失ってしまったのだ…。
友人に紹介され社会人だけが住まう下宿屋「桂花荘」に仮住まいのつもりでやって来た幸村だったが、その晩、自分のために開いてくれた歓迎会で同じ下宿に住む元ホストでラーメン屋の中馬一成(ナカマ イッセイ)にキスをされてしまった。酒を飲んだ上での過ちだと思っていたのに翌日にはその中馬に「付き合ってくれ」といきなり告白までされてしまい…
同時期にプラチナさんから出ていたもう一つの作品が、自分の中でどうも読みづらい内容だったので(絵師さんも苦手だったのもあって、なんだろうな、私一度ダメだと思うとどうもその後もダメなんですよね粗ばっか探しちゃって…)少しだけ躊躇したりもしていたのですがこれはそう言うことも無く割りとすんなり読む事が出来ました。
それにしてもこの所、英田作品の評価が分かれてますよね、書籍サイトさんなんかのレビューなど読みながら、みんな作家さんに何を求めているのだろうなぁなんて事もふと思ってみたり、確かに読者にしてみたら内容が濃い方が読み応えもあって読んでよかったとは思いますけどね、せっかくお金まで出しているのだし、その気持ちも良く分かります。
一つのカラーを貫き通して欲しいと言うことなのかもしれませんが、毎回毎回あのテンションで作品を仕上げていたら私なら書いている間中苦しくて苦しくて、泣いてばかりいて、終わった後たぶん気分悪くて吐いちゃうでしょうねぇ…たぶん(書きながら泣いちゃうこと良くあるんですよね…あ、勘違いされないように言っておきますが自分の書いた物をいい話だなとか思って泣くわけじゃないですよ、それじゃ全くの馬鹿ですもんね)
小説にしろマンガにしろ、その他の事でも何かを生み出すってものすごく重労働だと思うんですよね、父が絵描きなんですが、描いている最中はものすごく鬼気迫るものがあって怖いくらいなのでそう言うの小さいときから見てるからか、生みの苦しみって並大抵の事じゃないだろうな…なーんてわかった風なこと言ってないで感想書け!
男なのに男に襲われそうになる…こういうのBLもので良くありますがいまだに微妙になじめない部分です、まぁ幸村はゲイという設定らしいのでそれもありかなと思うのですが、あっちでもこっちでも男が男に襲われてますよね、BL物なんだから当たり前といわれてしまえばそれまでなのですが、そのあたりに若干違和感を感じてしまう今日この頃、だからって女が男にって言うのは自分が嫌な思いした事があるから尚更嫌で、これがあるからBL物読むの止められるかって言うと止められないんですけどね。
この下宿屋、近所の人たちから「イケメン荘」と言われるほど住人が皆良い男ばかりらしいです、いいですねぇこういうところが一軒でも近所にあったら目の保養になって毎日楽しい気がします。
「桂花荘」の「桂花」は金木犀の花の事らしい、以前うちの相方が中国出張の折に買ってきてくれたお茶がこの金木犀の花でした、味は普通なんですけど香りが良くてなんだか幸せな気分になります、好きなんですよねこの花…
そんな風流な名前の付いた下宿屋の住人は顔は良いけどちょっと変わってたりもする楡崎はナルシストで変人の大学助教授、エロ漫画家の九鬼にアイドル顔で鳶職をやっている田口哲平は誰にでもすぐあだ名を付けたがる…なんだか一癖もふた癖も、いやもしかするとそれ以上かもしれない癖のある住人ばかりってところが笑えました。
一番まともに見えるのが管理人の櫻井なんですが、この男も考えようによっちゃ一番得体しれないんですよね…なぞが多くて(笑)
男でアパートの管理人と言えば高月さんの「伯爵様シリーズの」明も若い身空でアパートの管理人やってたなぁ、あれは明が主人公だったから判りやすくてよかったけど。
そんな破天荒な奴らに囲まれて、最初はかなり引き気味の幸村なのですが、住人たちの事を理解するようになると次第馴染み始める、そのあたりの件がとても好きです。
ちょっと変わっているかも知れないけど、ここに住む人たちは皆優しくていい人ばかりなんですよ。(しかし、なんだか「いい人」と言う表現があまり良い意味じゃないように最近思えてきた私ってどこか変ですか?)
住人の中で私が一番気になる人物が鳶職をやってるたぶん「桂花荘」では最年少の田口哲平、普段はとても明るい彼ですが境遇が境遇だけにものすごくもろい部分を持っていて母性本能がくすぐられると言うのだろうか守ってあげたいタイプ、他の住人たちに可愛がられてるって言うのが良く分かります(笑)
みんな優しいのはきっと心に何がしの傷を負っているから、幸村もそれは同じで、リストラの憂き目に合っただけでなく娘を交通事故で目の前で亡くしたと言う辛い過去を背負っていたのです、人の死って辛いですよね、たとえ血の繋がりが無かったとしても愛情が深ければ尚更です。
自分に当てはめて考えちゃうとそれだけで涙が出てきますから普段はなるだけ考えないようにしてますが、こういう話を読むとどうしても考えてしまい辛くなります。
幸村はきっと子供を守ってやれなかった自分をずっと責めて責めて、過ごしてきたのでしょうね幸せになる事を恐れているような、それが態度や考え方に現れていて悲しいですね。
それにしても英田さんの書かれるお話の登場人物達って心底やな奴が出てくるのは珍しい気がするのですが、幸村の別れた妻だけはいただけなかったです。
彼女は彼女なりに傷ついているのかもしれないけどその傷を鑑みることがどうしても出来ませんでした、幸村別れて良かったよ、うんうん。
この本自体お話の内容は割りと重いテーマを扱っていような気がしますが読んでみるとさほど重さを感じません、これは幸村と中馬の恋愛が主軸になっているからなのか、心に重荷を背負っていても皆がそれぞれ前向きに生きているからか…?
住めば都と言いますが桂花荘は幸村にとってそう言う場所だったのかもしれませんね。
幸せになる事を恐れないで、これからは亡くなった娘さんの分まで中馬と一緒に頑張って行って欲しいと心から思います。
そういえばこれの番外編(と言うよりも続編??)は変人大学助教授の楡崎とエロ漫画家の九鬼の話だそうですが、一体どんな内容なのか、まったく想像が付かないな(笑)

ひと目会ったら恋に花/英田サキ(ill 笹生コーイチ)
bk1で見る⇒ひと目会ったら恋に花
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Comments:10
- yuki。 06-02-28 (火) 14:59
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こんにちわ。
英田さんの作品は軽いものから重いものまで幅が広く、人物描写が細かくて作品背景がしっかり組み立てられているので、大変読みやすいと思います。
好き嫌いはあるでしょうが。
そんな中でもこの作品は、英田さんの作品の中でも割と好きでした。
確かに同じようなテンションで書くというのは、作家さん本人にとっても大変ですし、読者側も結構大変かと思います。
……と、深く思ったエス 裂罅 読破直後のyuki。です。>これの番外編は変人大学助教授の楡崎とエロ漫画家の九鬼の話
…いやぁ、これがなかなか面白かったんですよー。
クールで飄々とした楡崎と、意外に可愛い九鬼のお話でした。
文庫に収録して欲しいですねー。
ってことは番外編か続編がもう一編ないと……(*^_^*) - Jura 06-02-28 (火) 15:14
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yuki。さんこんにちは!
>そんな中でもこの作品は、英田さんの作品の中でも割と好きでした。
そうですね、私もこの話しは結構好きでした。
英田作品はほんと幅広いですよね、それもまた読む側としては楽しみの一つだったりするのですが、好き嫌いが別れるって言うのは確かにあるかもしれません。>……と、深く思ったエス 裂罅 読破直後のyuki。です。
裂罅…私まだパラ見しかしてないのですが、その時点ですでに息苦しくなってます、こわごわと言うかドキドキしながら読み進めてますよ(笑)
自分が話しを書くときに、登場人物たちの未来を自分が決めていると言うところに時々重いものを感じてしまう事があるのですよね、架空の話だとしても人一人の未来を私が左右していいのかな、なんて…(^^;)
>文庫に収録して欲しいですねー。
>ってことは番外編か続編がもう一編ないと……(*^_^*)ほんとですね、続編とか出たりしないのでしょうか?
読者の反応如何にかかっているのかな縲怏ヤ丸文庫ってどうして読者カード付いてないんだろ。
そういえばJ庭で出す新刊(?)は何の話だったかな??
そちらも気になる。コメントありがとうございました
ではでは!
- 櫻井サクラ 06-02-28 (火) 17:01
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こんにちは、Juraさん。
TB、コメントありがとうございました。エス裂罅・・・発売日に入荷したものの放置したまま。
この作品、読むぞ!と気合いが入ってないと手を出せなくて。私も雑誌掲載の楡崎×九鬼(くーちゃん)編、読みました。こっちのが好きです。「ひと目・・・」よりちょっと重くて濃いめです。お題が”オモチャ”でしたから。
こちらからもTBさせていただきました。
では、また! - Jura 06-02-28 (火) 17:47
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サクラさんこんばんは
エスは確かに気合を入れないと読めないですよね、なんだか拾い読みの時点でビビッている私が居ます(笑)>私も雑誌掲載の楡崎×九鬼(くーちゃん)編、読みました。こっちのが好きです。「ひと目・・・」よりちょっと重くて濃いめです。お題が”オモチャ”でしたから。
オモチャであんな事やこんな事されるのでしょうか、誰が誰に?
気になるな縲彌n雑誌はもったいなくて買えないので、文庫になってくれないかな。こちらこそTB&コメントありがとうございました
ではでは! - 秋月 06-02-28 (火) 22:13
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Juraさん、こんばんは。先日はコメント&TBありがとうございました。TBお返しさせていただきました。
テーマもしっかりしつつ、テンポもよくて楽しめる作品でしたよね。
私もこのお話好きです。楡崎×九鬼編は読んでないんですが、そこはそれ、ぜひともシリーズ化して次の文庫に…!作家さんに何を求めるかは、難しいところですけど、シリアスもしっつり書けてコメディもがっつり、という幅の広い作家さんはいいですよね。英田さんもそういう方向性なんだと思うんですが、べつに私はプラチナ文庫に好みじゃない作品があるといっても、それは単純に好みの問題なので、文句つけてるつもりはない…んですけど。
>男なのに男に襲われそうになる…こういうのBLもので良くありますがいまだに微妙になじめない部分です
ですね。私もなじめない部分です。男が男に…という点もなんですが(ホモがごろごろ居過ぎ)、無理やり「襲う」という心理が理解できません。理解できるほうがアレなんで、この場合なじめなくてもいいんですよね?(笑)
最近、一度男に襲われたり、襲われかけたりした主人公(などの登場人物)が、よく簡単に男とつきあえるなあというところが引っ掛かり始めています。トラウマになって、拒絶反応を起こしてもおかしくない状況だと思うんですけど。本の感想から脱線してすみません。ではでは。
- Jura 06-02-28 (火) 23:00
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秋月さんこんばんは
この話はテンポ良く楽しく読む事が出来ました、こういう感じの話は好きですね。
もう一つのは私も文句つけているつもりは無いです、ただ、自分の好みとはちょっと違ったかなと言う感じですね。>無理やり「襲う」という心理が理解できません。
そうなんですよね、どうしてそこに考えが及んじゃうのかな縲怩ニそのあたりがすごくなじめないのですよ。
秋月さんがおっしゃる様に男に襲われた後、また男と付き合う気持ちに良くなれるなという考えもなんだか判る気がします、そう言う性癖(男性しか愛せないから)と言う心情というか考え?を念頭に入れてもトラウマなんかは絶対残ると思うので、そう言う深刻な部分をどういう風に話を持っていくかによって、満足度とか納得できる出来ないが変わってくるのかなとも思いますね。これ、本当にシリーズ化して楡崎X九鬼をつぎに入れて欲しいです。
こちらこそコメント&TBありがとうございました
ではでは! - aya-me 06-02-28 (火) 23:50
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Juraさんこんばんは。
TB&コメントありがとうございました。
まだエス裂罅を買ってすらいない、1縲鰀2も読んでいない、
トラック3週遅れのaya-meです。
エスを読んでいないせいか私はこの作品、結構好きです。
英田さんだって書きたいものたくさんあるんでしょうから…。
ワンパターンに比べれば色々書いてもらった方がいいかも。
でも、この題材をSHYで書いたらどうなるのかも見てみたいですw
作品に関係ない事ばっかですみません…。それではまたお邪魔します縲怐B
- Jura 06-03-01 (水) 0:09
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aya-meさんこんばんは
>でも、この題材をSHYで書いたらどうなるのかも見てみたいですw
あはは、確かにこの手の題材をSHYで書いたらどうなるでしょうね、でも…「花嫁のビジョンブラッド」ってわりと軽めだったからそれほど差は無いのかもしれませんけど、レーベルによっての違いと言うのが今まだいまひとつ掴みきれてなくて…
花丸、とかプラチナとかはやはりどちらかと言うとあまり深刻化しないような雰囲気でしょうか?>英田さんだって書きたいものたくさんあるんでしょうから…。
ワンパターンに比べれば色々書いてもらった方がいいかも。そうですよね、作家さんが楽しんでかけるって言うのが一番いいことなのでは無いかと私は思うのですが、なんと言いましょうか「○○さんでなくてもかける話題でしかなかった…」的な言われ方が若干、なじめないな縲怩ニ感じてしまうのですよね。
エスはチャンスがあったらぜひぜひ読んで下さいませ。
自分の感情を表に出せない忍ぶ愛って感じです。
その感情を露に出来れば彼らの気持ちも少しは軽くなるのかな何てことも考えつつ、一気に読むと疲れちゃうかもしれませんが(笑)その分読み応えはかなりあるかもコメント&TBありがとうございました
ではでは! - 櫻井サクラ 06-03-01 (水) 10:54
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こんにちは、Juraさん。
昨日に引き続きお邪魔しちゃってスイマセン。今日、エス裂罅の感想アップしたのですが
話の流れからJuraさんのところにリンクを貼らせていただきました。
事後承諾で申し訳ないのですけど、もし不都合がありましたら連絡いただけますか?
勝手言ってスイマセンがよろしくお願いします。 - Jura 06-03-01 (水) 15:37
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サクラさんこんにちは
このコメント読むより先にサクラさんちに行ってうちにリンク貼られているのを見てびっくりしました(笑)
実は…更新あったらすぐわかるようにRSS登録してあるんですよね(笑)
リンク全然OKですよ!わざわざご報告ありがとうございます、嬉しいです。裂罅…少しずつ読んでますが最初の数ページでもう、なんだか切ない気持ちでいっぱいいっぱいになってます。
殺されても良いと思える人間にすべてをさらけ出せない椎葉の苦悩が痛々しいです。ハッピーエンドじゃなくても良いんだよな縲恷пAただ…それぞれの苦悩が少しでも軽くなる方向でラストに向かって欲しいなと切に願わずに居られません。
ではでは!
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ひと目会ったら恋に花(英田 サキ/笹生 コーイチ)
嫌いな相手先の上司に強姦されそうになって怪我を負わせて左遷、その上住んでたアパートが火事で追い出され・・・・・・それだけでも充分不幸なのに、過去がバレてくたびに不幸が増えていって、もう気の毒で。それでも頑張って仕事しようとするし、投げやりにならずに健気に..
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[+] 英田サキ「ひと目会ったら恋に花」
花丸文庫の英田サキさんの「ひと目会ったら恋に花」です。イラストは笹生コーイチさんです。 【 あらすじ 】 『”イケメン荘”は今夜も花ざかり!!』 一流商社に勤める幸村匡樹は、取引先とのトラブルを起こして左遷されてしまう。その上、火事で住む場所を失い、「桂花荘」という古ぼけた下宿屋へ引っ越すハメに。 …
- trackback from 月と凌霄花 06-02-28 (火) 21:59
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『ひと目会ったら恋に花』
ひと目会ったら恋に花
英田サキ/笹生コーイチ
白泉社花丸文庫 2005.12
英田さん、昨年は『エス』に始まり本作で、計7冊も出版されたんですね。全部読んでいますが、昨冬の衝撃はやはり尋常ではなく、その後出版された作品がどうしても比較されがちになることは否めません。そんななかで、昨年の単発作品のなかでは最も面白かったです。もっとも、読んだのは今年になってからでしたが(笑)一流商社に勤めていた幸村匡樹(こうき)は取引先とのトラブルで理不尽な責任を取らされて左遷された上、火事で住む場所を失ってしまい踏んだり蹴ったり。友人の紹介で「桂花荘」という社会人ばかりが住んでいる下宿屋に一時的に身を寄せることになり、ひと安心したのも束の間、そこは顔は良くとも風変わりな人間ばかりが住んでいる、世にも珍しい「イケメン荘」だった。
道楽で下宿を経営しているとしか思えない料理上手の管理人・櫻井、住人にはエキセントリックなエロ漫画家・九鬼、やんちゃなアイドル顔の鳶職人・哲平、変人ナルシストの大学助教授・楡崎、そして、出会ったその日に幸村に告白をしてきた元ホストのラーメン屋・中馬一成(いっせい)。
仕事にも生活にも、先行きに不安を感じる幸村だが、この奇妙なイケメン荘での日々はなんだかバタバタ過ぎていって…。変わり者のイケメンばかりが揃った下宿屋。いかにもボーイズラブな設定ですが、キャラクタたちが好き勝手に騒動を起こしてバタバタッという作品では終わらないところが英田さんの英田さんたる所以。妙に明るい変人ぶりが強調されているものの、下宿人たちにはそれぞれに抱えた決して軽くはない個々の事情があります。個性もバラバラな彼らが、お互いを尊重し合い大切にし合っているというのがよくわかり、いたずらにホモ臭ただよう下宿、とかそういうことにはなっていません。いえ、もちろんなんだかそれらしい匂いは漂っているんですけれど。
主人公の幸村が持っている過去の傷は、決して軽いものではない。血は繋がっていないけれどとても大切に愛していた娘を事故で失ってしまい、謝罪のために離婚した妻に毎月慰謝料を払っている幸村。タイトルとイケメン荘との組み合わせが、いきなりズンと重くなったと感じるかもしれませんが、英田さんらしい書き方とでもいいますか、物語の緩急がうまいので凄く深刻になったりはしません。それでいて、きちんと人の生き死にやそれに関わる人々の心情について押さえるべきポイントは押さえています。
娘を死なせてしまった後悔から、幸せになってはいけないと自分に言い聞かせている幸村に、自分の経験を明かして頑なな心を優しくとかしてやります。中馬はじつは幸村に一目惚れをしていたのですが、「ひと目会ったその日から、恋の花咲くこともある」って、BLの口説き文句として如何でしょう。…コメディですよね、ちょっと。
考えてみると英田作品には、わりと近親者の生死が関わる話が多いですよね。数をこなせばいいというものでもありませんが、書き慣れてきはじめた部分もあるのか、無理なく読めました。ただ、元妻の態度は全く褒められたものではありません。厚顔無恥も酷すぎる。このタイプのキャラクタが登場できるのは、シリアスのなかにもある程度コメディ感、ライトさのあるものでなくては。元妻の引き際があっさりし過ぎて都合いいですが、花丸文庫はやっぱり手軽に気軽に読めることが売りですから、レーベルのカラーには合っていたかと思います。さて、主役二人の恋・過去云々という軸とは別に、二人の仕事面についても書き込まれており、職業ものとしての楽しみもあります。中馬によって幸せになること、恋をすることを教えられた幸村は、現場で働く上での人間関係のトラブルを処理し、左遷されたというマイナスをプラスに転換していきます。恋と生活と、うまく両立できるバランスの良さで、読みやすい作品に仕上がっています。
さて、いたずらにホモ臭がただよっているわけではないと書きましたが、メンバーの大部分がホモなんじゃないかという疑惑もあったりなかったり…(笑) あとがきに、エロ漫画家九鬼くんが主人公の短編を雑誌に書いたとあって、かなり興味津々なのですが、お相手が楡崎だとあって、……ええぇ?(笑) もしもシリーズ化されるなら、今後の展開が楽しみです。1作目ということで今回の主役二人は彼らだけにポイントが絞られたわけではないので、他の作品でちらりとその後が垣間見えると嬉しい。 - trackback from ゲイ&腐男子のBL読書ブログ 06-02-28 (火) 23:39
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「ひと目会ったら恋に花」/英田サキ(笹生コーイチ)
エスを読みたい、読みたいと言っておきながら
地層の上から読むためこちらが先に来ました。
エスは…下から8・9冊目ですか…うっうっ。この悔しさを積読を減らす気力に変換することにします。
さて、この作品はテーマはヘビィですが花丸らしく
ライトな感触でした(合ってないともいう)。
それでは感想です縲怐B - trackback from B-Life.SS 06-03-06 (月) 0:55
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[BLS]ひと目会ったら恋に花
英田サキ&笹生コーイチ(白泉社・花丸文庫) 最近とても精力的にお仕事をされている(ように見える)英田先生ですが、ここ最近の作品については皆様それぞれの感想をお持ちのようです。やはり質の高い作品を生み出してしまうとその後の苦労もたくさんあるの…




