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星の秘密/剛しいら(illust 巴 里)

前作「月の秘密」「夜の秘密」と続く「秘密」シリーズ第3弾です。
シリーズとは言え登場人物は変わっているのでこれだけでも楽しめますが、リンクしてる部分がまったく無いわけではないので先の2作も読んでおいた方が2度も3度も美味しいかもしれません。

1作目の「月の秘密」は出来損ない吸血鬼が孤独なまま長い年月を生きてきて、やっと生涯の伴侶といえる人物を見つけた話。

2作目の「夜の秘密」は銃弾に倒れた一人の刑事が吸血鬼の血によって太陽以外は怖がらなくてもいいような身体を得たものの、それをすぐには受け入れがたく、また人間であったころの想いにもとらわれながらも、その中で自分の置かれた境遇を徐々に受け入れ、同僚だった男との愛を深めていく話。

3作目は吸血鬼に恋しちゃった人間の話(まとめ過ぎ?^^;)

吸血鬼に恋しちゃった人間の話と言うと真っ先に思いつくのは私自身とても大好きな高月まつりさんの「伯爵様シリーズ」ですが、あれとこれとではかなり趣が違います。
もちろん作者様が違うので作風も受け取り方も変わって当然のことなのですが。同じ吸血鬼モノでもあちらは吸血鬼も人間並みに性欲あり、人間のような感情ありなどちらかと言うと魔物よりも人間臭い吸血鬼モノでした。それに対し、こちらは人間のような感情は失われ、そのためなのか性欲すらも無いのですね、男なのに…何だか寂しい限りです、いや彼らは特にそれでも問題ないのでしょうけれどもね。

交通事故で突然両親を失い天涯孤独の身の上となった天之 昴(あまの すばる)はある夜金髪の美しい男性と出会います。
「君の望みは全てかなえてあげる」と言うその不思議な男の妖しい魅力に惹かれて「僕の望みはあなたのそばにいること」だと告げるのです。

夢のような一夜だったと、記憶もおぼろげな昴の前に両親の知り合いだったと言う男が現れ昴をさらうように連れ去ってしまいます。
昴が連れてこられた洋館にいたのは星の夜おぼろげの記憶の中にあるあの美しい金髪の男性でした。

昴は彼を見たとたんはじめてあった夜に湧き上がってきたのと同じような強い思慕の念に駆られ、その男性のそばに行きたいと思うのですが、彼の方は全くと言っていいくらい昴に無関心なのです。お互いの中の感情面での温度差に昴はこの先も悩まされる事になります。

連れてこられた館の中には昴の他にも数名の男達が生活していました。中には世界的に有名な作曲家などもいました。彼らは金髪の男性の事をマスターとよび、昴は彼らから自分達がここにいる理由を聞かされます。

実は侯爵は世界でももう残り少なくなってしまった吸血鬼の純血種で同じ館にいる男達は皆、侯爵から何がしかの恩恵を受けつつ自分の血液を侯爵に提供するいわば選ばれた者ばかりだったのですね。
ただ提供者と言っても誰でもいい訳ではなく、侯爵が日本に滞在している間は一緒に生活を共にする事になるため、数ヶ月姿をくらましてもあまり不振に思われないような境遇の者、昴の場合両親をなくし天外孤独の身の上になったという事で白羽の矢が当たったわけです。

それにしてもあれだ、連れてくるのが皆美しい男性ばかりって言うのが妙に笑えますよね、これが普通の吸血鬼モノだったら提供者は女性でしょう(笑)まぁBLモノなんだから当たり前なんですけれども^^;)
しかも、提供者は40歳を過ぎたらお払い箱ですよ、記憶を消されて俗世に送り返されちゃうわけです、オヤジの血はいらんのですね…吸血鬼ものに見た目オヤジ受けはあり得ない、と…((φ(..。)

昴は人間で、人としての感情が多分にある、性欲も食欲も人を乞うる気持ちも、しかし侯爵は昴と同じような感情は全く持ち合わせてないので昴は次第に他の提供者達に嫉妬したりするんですよね、報われぬ恋に身を焦がす辛さ、たとえ相手が自分とは生きる世界の違う人(?)でも相手を想う気持ちは止められない。

……辛いですね。

ところで1つ話の中で非常に不思議だったのが、吸血鬼の純血種ってどうやって出来るかって事でした。
このシリーズ3作あるうちの先の2作は吸血鬼は吸血鬼だけれども人を自ら狩ることの出来ない出来損ない吸血鬼なのですよ、しかし今回の侯爵は自分から人の血を吸ってそれで生を永らえてます。
吸血鬼の純潔種も出来損ないの彼らもどちらも吸血鬼の血を飲む事で出来あがったもののはずですが、出来損ないと純潔に分かれる過程の違いは何なんだろ?
なんて特に話の内容には関係のないところで妙に引っかかって一旦気になっちゃうと妙に知りたくなってたまりませんでした(笑)
本文には特に関係ないことなのでそれについての記述は無かったように思いますが作者様自身はどうお考えなのでしょうね?

提供者の人間の方は血液を吸われている最中に、まるで行為の時のような高揚感や充足感を味わうらしいのですが、だからと言っても純粋に交わる行為ができるわけではありません、どうやってこの先昴の想いが遂げられる事になるのか。その辺りに絡んでくるのが「月の秘密」で主人公の巴子爵のパートナーとなった山神太地の存在です。

彼は一見普通の人間なんですけれども、山神という特殊な種族の血を引き、月になると躯が変化する狼男の末裔みたいな存在なのですね、月を見たからと言って変身はしませんけれども。躯の奥深くに潜む獣の血が騒ぐという感じでしょうか?
その太地の血液が他の人間や吸血鬼の体内に入ると特殊な効果を引き起こすわけなんですよ。

うひひ……(怪しい、怪しすぎ…)

そして太地の秘密を知っていて、侯爵の下で血液の研究をしていた赤根と言う男の存在も忘れてはなりません、彼がいなければ二人は結ばれなかったでしょうね縲怩ォっと。
二人を結びつけた一番の功労者は彼なのに、よからぬ研究をしていたと記憶を消されて俗世に送り返されちゃうのってちょっとかわいそうな気もしないでもない…(笑

私これ、最後には昴が侯爵の血液を与えてもらって、昴も吸血鬼になって終わるのだろうと思っていたのですが、今回の話の中ではそこまでいきませんでした。ただこの先も侯爵のそばにずっといることを昴が望み、侯爵も昴をそばに置く事を選んだのでそう遠くない将来にはその過程を辿るのでしょうけれども、今回は純粋に吸血鬼に恋した人間の話でおわっていました。

特にこれと言って大きな起伏のあるストーリーではないのでドキドキハラハラ感はあまり味わえませんが、剛さんの書かれる作品の中でこのシリーズは妙に心に残る作品なのです。秋の夜長に静かな気分で読むのにはぴったりの1冊かもしれません。

星の秘密 (ダリア文庫)
著者/訳者:剛 しいら
出版社:フロンティアワークス( 2005-11-12 )
定価:¥ 540
文庫
ISBN-10 : 4861341051
ISBN-13 : 9784861341052

Comments:5

さくら@腐女子の縲怎Iタク感想文 06-09-14 (木) 22:45

Juraさん、こんにちは!

コメントとTBは頂戴しました!

しかしですね…なんか別の記事にコメントとTBが届いてしまいまして、不思議な状態となっています…

なんででしょうね…
しかも「赤」に届いていてびっくりしました。
相変わらず動作のおかしいブログですいません(T_T)

とりあえず、コメントとTBが移動できそうならやってみますね!

また、ご連絡しにきます★
では。

さくら@腐女子の〜オタク感想文 06-09-14 (木) 23:50

再びこんばんは!

コメントとTBの移動ができましたので、ご連絡に来ました★

しかし、本当にいつもご迷惑をおかけしていてすいません(T_T)
最近、システム乗り換えようかなと悩んでいますが、乗り換えると今度は送ったTB先のURLとリンク切れになるんですよね…

悩みます(^^ゞ

本当に萌えはないんですが、ストーリーがいいですよね♪
確かに秋の夜長にはいいかもしれませんw

コメントとTBありがとうございました!

Jura 06-09-16 (土) 12:54

さくらさんこんにちは縲彌n忙しいのに、色々お手数をおかけして申し訳ないです。
コメント投稿したときにテンプレが「赤」の方に変わってしまったので、あれ??とは思ったのですが、飛ぶ場所を統一したのかしら?なんて…

なのでそのままにしてしまったのですが、TBもコメントも赤の方に飛んでしまっていたのですね!?びっくりです。
いったいどの記事にコメントが付いたのやら…orz

システムの移行…スクリプトが違っていてもテキストログ形式が同じなら、データのインポート、エクスポートでデータを移行できるかもしれません。
以前Blogn⇒sbに移行出来たので設置して試してみるのも1つの手かも。

でもさくらさんお仕事忙しそうですものね。
あまり無理なさらずに縲彌n
ではでは、色々ありがとうございましたvv

月子 06-11-09 (木) 0:05

Juraさん、こんばんは☆

「秋の夜長に読む作品」…まさにその通りだと思います!!
なんか、しっとりしていますよね…。
私はこの手の雰囲気の作品は大好きです♪

ところで、私も昴は侯爵の血によって吸血鬼にされてお話が終ると思っていたんですが、今回はそうはならなかったですよね。
なので、続編があるのかな?と思ったんですがどうなんでしょう。。。

Juraさんの一作目、二作目のまとめがわかりやすかったです!
どちらも読んでなかったので、助かりました縲怐凾ꀀりがとうございます。

TBさせてください♪

Jura 06-11-09 (木) 2:04

月子さんこんばんは

>しっとりとした作品

そうですよね、はらはらドキドキ感はあまり無いけれども、その分落ち着いて読むことが出来て好きです。
剛しいらさんは色々な作品を書かれますよね縲怩スまにどうにも受け入れがたくて読み切れなかったりもするのですが(^^;)
このシリーズの中では私的には、一番最初に出ている「月の秘密」が一番好きですね。

この作品の続き……
どうなんでしょうね、たしかにこれで終わりは少し物足りない感じもしないで無いですよね。
気になります。出るんだったら早いとこ出てください、と言う気持ちでいっぱいです(笑)

TB&コメントありがとうございました
ではではvv

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[+] 剛しいら「星の秘密」

ダリア文庫の剛しいらさんの「星の秘密」です。イラストは巴里さんです。 【 あらすじ 】 至高の悦びを与えられて… 両親を亡くし、悲しみに暮れる天之昴は、星空の下で侯爵と呼ばれる…

trackback from 裏・月子の書斎 06-11-09 (木) 0:00

『星の秘密』

剛しいら(絵 巴里)/フロンティアワークス(2005・11月)
【あらすじ】両親を亡くし、悲しみに暮れる天之昴は、星空の下で侯爵と呼ばれる謎の金髪の男に出会う。一目で彼に惹かれていった昴だが、実は彼は純粋種の吸血鬼だった。昴は侯爵の別荘に血液提供者として連れ去られ、最初は途惑うものの、次第に悲しみを背負う侯爵を愛しく思い始めてしまう。一方、侯爵は遠い過去に愛という感情を捨ててきてしまったようで…。いや縲怩ネんとも不思議なお話でした。
しいらさんの作品は読みたいと思いつつなかなか読めなくて、いまだに『筋肉』と『SM』の印象が強いんですが、こんな不思議なお話も書かれるんですね縲怐B
ますます大注目の作家さんです♪
【新刊即買い&既刊ちょっとずつ集めちゃうわよ】な作家さん認定されました(笑)
今度アイノベルズで、『剛堂小冊子フェア』という、しいらさんと愁堂さんの合同のフェアが開催されるんですが、その時に愁堂さんの作品と共に、しいらさんのアイノベルズ作品もまとめて馬鹿買いしそうです。 

さてさて本作で、微妙に避けてきた『BL吸血鬼もの』にはじめてチャレンジしたわけですが、なんと吸血鬼どころか、『犬神家』やら『狼男』やらが登場するわで、大変衝撃的な吸血鬼ものデビューとなりました(笑)
これだけ書くと「笑える作品か!?」と思われそうですが、けっして笑えません。
笑えるポイントはなく、むしろかなり切ないお話でした。

血液提供者として侯爵の屋敷に連れてこられた昴ですが、屋敷には他にも血液提供者がいて、けっして昴だけが特別ではない…というところから、けっこうBLにしては珍しい設定だと思いました。
しかも、血液提供者と侯爵の間にはセクシャルな関係はなく、提供者は侯爵に血液を提供し、侯爵は提供者に健康や能力を与える…という、完璧な相互提供関係を築いています。
そして40歳になる頃には血液提供の役目を終え、記憶を消されて元の世界へと戻るわけです。
ただ例外があって、侯爵の為に血液の研究をしている赤根という研究者は、老人になった今でも侯爵の為に研究を続けています。
この赤根がすごく切ないキャラでした。
彼は侯爵を深く愛していたんですね。
愛していたからこそ侯爵に強くなってほしかった。日の光を恐れる事の無い肉体を侯爵に得てほしかった。
そこで彼は、狼男の血を昴に与え、間接的に侯爵に狼男の血を飲ませたんです。
狼男の血を飲んだ侯爵は発情し、昴を抱く事になります。
昴は侯爵に出会ってから惹かれていき、侯爵を深く愛するようになっていて、そんな昴を侯爵も愛しく思い始めていました。
愛を忘れた侯爵が、狼男の血の威力も借りて、昴と肉体関係を結ぶようになります。

自分をだまして狼男の血を飲ませた赤根の記憶を消し、彼を元の世界へと戻します。
赤根は、そうなることを覚悟していて…。
せつないですぅ!
めちゃせつないです!
愛してはいけない人を愛し、遂げる事のない想いをずっと抱いてきた赤根。
でも、それに負けないくらい、ほんとバカなんじゃないか!?と思うくらい深く侯爵を愛する昴もせつないキャラでした。
とりあえず侯爵と昴は共にいることを選びましたが、今後どう生きていくかはまだまだこれからといった感じです。
続編があるのでしょうか。
そもそも、このお話もシリーズ3作目みたいで、前の2作を読んでいなかったので、登場したキャラが若干わかりにくかったりしたんですが、一応これだけでも十分理解できます。
全体的に不思議な雰囲気がして、BLの新たな一面を見せていただきました。

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