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紅蓮のくちづけ【深山くのえ / illust 西 炯子】

深山さんは私読むのこれで3冊目になるのかな?絵師の西 炯子さんは「籠の鳥は夜にささやく」でも挿絵を担当されてましたからこれで2度目のタッグ。

そういえばこの方今までパレット文庫で5冊BL作品を出されていますけれども1冊も現代の話がありません。中近東モノは魔法のランプだし、中国の娼館ものやら中世風ファンタジーものとか全て時代物、パレット文庫がなくなってどうされているのかなと思って検索してみたら、小学館から新しく出版される事になったルルル文庫の方で中国の女郎館もの(BLではなく男女モノ)のWEB小説を書かれてましたよ。

さて、このお話、時は江戸時代です

薩摩藩藩主細川家の小姓と元秋本家家臣

小姓って聞くとなんかこう……
「あ~れ~お殿様ご無体な(←ナニ?)」って感じのイメージですけれどもこの話は違うのですよ(笑)

サブタイトルが「染模様恩愛御書(そめもようちゅうぎのごしゅいん)」読めませんがな…

つれの忠言が他所の者といざこざを起こしそうになるところへと止めに入った大川友右衛門(おおかわ ともうえもん)は、姿の見えなくなった従者を探しに来た少年の美しさにひと目見て囚われる。
少年は従者を咎め友右衛門に侘びを入れた後、雑踏の中に消えていった。

―― あれは幻だったのだろうか?

友右衛門は少年の姿が消えていった辺りをいつまでもじっと見つめていた。これが、印南数馬(いんなみ かずま)と大川友右衛門の初めての出会いだった。

この話、歌舞伎(通し狂言)とボーイズラブのコラボレーションだそうで、松竹では市川染吾郎さんと片岡愛之助さんが主役の二人を勤めているのだそうですが、この仇討ち衆道ネタで初めて歌舞伎の公演があったのが1889年だと知ってちょっとびっくりしてます。

今回、松竹でこの復活上演をやる事を知った小学館からの熱いラブコールで、このコラボが実現したのだとか へぇ…(ネタ元

「男には果たす忠義がある、男には守る愛がある。そんな男たちが織りなす恋と感動のストーリー。数馬…いつまでも一緒にいよう。」

って言うパレット文庫さんの煽り文句にちょっと笑っちゃいました。

歌舞伎の方は見に行った人の感想を読んでいたら、コメディっぽい部分が結構あって笑えたって、しかも切腹の場面でって……そんな恐ろしいような場面で馬鹿笑い…ナゼ?(笑)

たった一瞬の出来事だったのに友右衛門はその時ひと目見た数馬の美しさが忘れられず手紙をしたため数馬に送るのですが返事をもらえず、ならばと二百石の禄を捨てて袖助と名を変えて細川家の忠言となります。

そこで再び二人は出会うのですが、数馬の態度がどこかよそよそしい。

友右衛門の気持ちを受け入れられないのは自分が子供の頃濡れ衣を着せられて殺された父の仇を討たなければならないからだと言うのです。
しかもその仇の横山図書(よこやま ずしょ)と言う男は数馬自身は顔も知らない相手、何時見つけられるかも判らないんですね。

自分の一生は仇討ちのためにある、だからあなたの気持ちにも答える事は出来ないのだと数馬は言うのです。

齢16歳にして仇討ちで顔すらも知らない誰かを探して殺す使命を背負ってるなんてあまりにも荷が重過ぎる。しかも志半ばにして病気がちだった母は数馬に全てを託して亡くなってしまいその細い肩にはさらに重責が……。
そんな数馬の身の上を不憫にも思ったのでしょう、友右衛門は自らが数馬の探す仇討ちの助太刀をすると申し出て、これも縁かと数馬は友右衛門と義兄弟の契りを交わすことに。

二百石ってGoogleの計算機機能をつかうと36.07800m3らしいです。
36.07800m3の給料?どう考えていいのやら…そんなにもらっていたのに!?と数馬も驚いてますので、まぁ多かったという事で?
(あ、そこに暮らす領民たちの納める年貢みたいなものが給料になるって事なのか?……すいません、こういうの疎いもので^^;)

義兄弟の契りを交わすって今で言う養子縁組みたいなものなのでしょうか?
実際にはそこにこの本に出てくるような性的な意味合いは無かったんじゃないかなって気もするんだけど、まぁBL風だから(笑)

身分制度があるこの時代ほど家やら血筋、上下関係のしがらみに囚われている時代は無いでしょうね。
もしかすると下級の者たちよりも身分の高い人たちの方がその傾向が強いのではとこういう時代物の話を読むたび思います。

上の言いつけは絶対で逆らう事もままならない、そんな時代に産まれた不運とでも言うのでしょうか、それは友右衛門と数馬の二人にとっても避けようの無い現実で、二人の恋はお互いの性別が男同士である事以上に平坦な物では無かったのですね。

互いを想う気持ちは変えようも無いのに、かといって自分達の仕える藩主の言いつけにも逆らえない、逃れられぬ宿命に翻弄される二人……。

それでも自分達の想いを貫き通したと言う視点から見ると、彼らの選んだ道は決して不幸ではなかったように思えます。
友右衛門の言う「いつまでも一緒に…」の誓いは果たされているわけですからね。

深山さんの書く話は読み終わった後じんわりと暖かいと言うか何か心に染み入るものがある。それが、私的にはポイント高いです。お気に入りの1冊がまた増えました。

紅蓮のくちづけ―染模様恩愛御書 (パレット文庫―スペシャル版)
著者/訳者:深山 くのえ
出版社:小学館( 2006-09 )
定価:¥ 690
単行本
ISBN-10 : 4094216057
ISBN-13 : 9784094216059

パレット文庫なくなっちゃったらもうBL書かないなんてこと無いですよね~深山さーん!とか、こんなところで呼びかけてみる……無意味な呼びかけ^^;)

Comments:2

ハスイ 07-01-21 (日) 21:03

Juraさん、初めまして、今晩は。

お忙しい中コメント+TBを頂きましてありがとうございました!こちらからもお返しをさせて頂きますね。

私のブログの感想記事は、数ヶ月に認めたものなのですが、そのような古い記事を見つけて頂けて嬉しかったです♪

私はこの作品が深山さんの初読み作品となったのですが、メインカップルが逝去をする、と言う結末を迎える作品にも関わらず、読後感が悪くない事に新鮮さを覚えました。

原作があるとは言え、難しい作品だと思うんですね。こう言う作品をアレンジして執筆をすると言う事は。

幸いにも深山さんは、時代物がお好きな作家さんでいらっしゃったので、こう言った仕上がりになったのでしょうが、個人的にも心に残った作品となりました♪

悲しいお話ですが、「二人が愛を貫く為には必要な結末だった」と読み手が納得できる仕上がりでしたしね。

Juraさんが感想で認めていらっしゃいますように、私にとってもお気に入りの作品となりました♪

気付いたら長いコメントになってしまいましたが、本日はコメント+TBを頂けて嬉しかったです。

今後もまた、お気が向かれた際にお付き合いを頂けると嬉しいです。ふつつか者ですが、宜しくお願い致しますね。

ではではまた!

Jura 07-01-21 (日) 22:31

ハスイさん、こんばんは。
ハスイさんはこの本が深山さん初読みだったのですね、私も似たような時期にこの本を買ったんですが、なかなかゆっくり腰をすえて読む事が出来ず、こんなに遅くなっちゃいました。私はこれの他にも数冊読んでますがどれもわりとお気に入りです。

>こう言う作品をアレンジして執筆をすると言う事は。

そうですよね、原作のイメージを壊してもいけないし、かといって忠実すぎると今度は判りにくくて、BL風も成り立たなくなっちゃうでしょうしね。
ご本人もあとがきでかなり苦労したというような事を書かれていましたけれど、時代背景もかなり昔の事なのでそれを活かしつつだとほんと苦労なさったんだろうなと思いました。

>悲しいお話ですが、「二人が愛を貫く為には必要な結末だった」と読み手が納得できる仕上がりでしたしね。

そうですね、この話で最後無理矢理ハッピーエンドだったりしたらかえって納得出来ないです。嫁を娶ったりするのも言語道断ですよね(笑)
なのでこの話はこれで納得ですね。

こちらこそコメント&TBありがとうございました
またお邪魔する事あると思いますよろしくお願いします

ではまた!

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紅蓮のくちづけ 染模様恩愛御書

【内容紹介】

初夏の浅草観音。美貌の細川家小姓・印南数馬は、凛とした若侍・大川友右衛門と出会った。瞬間、数馬は大川の強い眼差しに心を奪われ、大川は数馬に一目惚れ。互いに求め合いながらも、ある事情が二人に幸せな恋を許さ

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