- 2007-01-30 (火) 11:55
- BL小説(作家名・あ行) | いつき朔夜
いつき朔夜さん初読みです。なんとなくこの表紙のイラストの雰囲気に惹かれて他所様でも評判のよさげな本だったので気になっていたのですよね。
作品タイトルから、夏ごろに出た作品なのかと思っていたのですが、実際は違いましたね。
夏休み頃の話と言う設定だからこのタイトルなのかな?
高校生と博物館職員。年齢差6歳の年下攻め。
椋本浩紀(むくもと ひろき)は郊外学習の授業で訪れた博物館で、自分の作った化石のレプリカと本物を間違え割ってしまう。
友人にからかわれた事で、むしゃくしゃしていた浩紀は「弁償すればいいんだろう」と投げやりな態度をとり博物館の職員である香月草一に本気でしかられてしまったのだ。
博物館の備品を壊してしまった代償にと夏休みの間ボランティアで博物館の手伝いをする事になってしまった浩紀は始め、何かと突っかかってくる香月のことをあまりよく思っていなかったが。日々の仕事の中で少しずつ香月のことを知るうちに、どこか頑なな態度の裏に隠された本当の彼の姿が気になり始めて……。
攻めが高三で、それより6歳上って事は受けの年齢は24歳かナルホド。
この時期の6歳差ってかなり大きいですよね、自分はまだ未成年で親の庇護下にあるのに相手はもう仕事していて自活していて自分から見るとかなり大人の男で……。
この時点でもう負けたって年下の方は思っちゃう。
この話何が好きかって、浩紀の必死さ加減が好きです。
最初はやだやだって思っていた博物館でのボランティアも草一の事が気になり始めてから次第に楽しくなってしまうような、単純なところも、頑なな態度や冷たい言葉で草一に拒絶されても、草一の気持ちはもしかしたら以前好きだったという木部の元にいまだあるのかもしれないと思っても、それでも諦めずに向かっていく純粋さやひたむきさがとても好き。
そんな浩紀でも、あまりにも頑なな草一を前に、これ以上はもうだめかもと諦めかけたりもするんです。
「俺、あんたを見ていると、蝉を思い出すんだ」
って草一に言うんですよね。
セメントの下になった蝉みたいに出たくても出られなくてもがく蝉。俺は自分の気持ちをちゃんと言えたから、だから草一の中にある本当の『好き』って気持ちまで閉じ込めないでやって欲しいと浩紀が切々と自分の気持ちを訴えかけるシーンがとても好きです。
振られるより振る方が辛いんじゃないかって草一を見てると思うから、それを少しでも軽くしてやりたい…なんて…なんて出来た子なの(ノД;)
対する草一は優しいんだけれど臆病で、浩紀よりも6歳長く生きている分大人のこずるさを身に着けているとでも言うのかな?
こずるいんですね、気のあるようなそぶりをするくせに、体の良い理由を作ってのらりくらりと逃げる術を知ってる。
それが続編では顕著に現れていてとても嫌だった。
いつか来るかもしれない別れに怯え、不安になる気持ちは決して判らなくは無いし楽観視出来ないのも事実だろうと思うのだけれど、だからってどうしてしないでも良い努力を自ら進んでするのか、別れの時相手を憎むような別れ方をするのが怖いならなぜ、そうならない努力こそしようとはしないのか。
あの心理は私には全く理解不能。
判れる理由を作るために木部の事まで利用しようとしたりして、アノ件は正直むちゃくちゃ腹が立ちましたね。
木部が
「おまえはあいつにゃもったいない」
とか言うのだけれど私は絶対その反対だと思う(笑)
なんだかこんな事書いていると私この話嫌いなのかと誤解されそうですけれども全然そんな事はありません、かなり好きなお話です少なくとも本編終了までは、読後感もすごくよくって幸せな気持ちになった。なのに、せっかくの幸せの余韻にひたって高揚していた気持ち続編に入っていきなり頭から水ぶっ掛けられたように急激に気持ちがしぼんでしまって、とたんに読む気が失せてしまった(読んだけど)なんかほんともったいないデス。
まぁ浩紀のよさを再確認する事にはなりましたけれど…もしかしてそれが狙い?
草一も、最終的には自分でちゃんと自分の本当の気付いたんで最終的にはとても綺麗に纏まってると思います。
なんかダメだなこれ、この話浩紀があまりにも好きすぎて。つい、草一を見る目が厳しくなっちゃうわ(^^;)

八月の略奪者(ラプトル) (ディアプラス文庫)
著者/訳者:いつき 朔夜
出版社:新書館( 2006-11 )
定価:¥ 588
文庫
ISBN-10 : 4403521460
ISBN-13 : 9784403521461
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Comments:2
- aya-me 07-02-04 (日) 21:20
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こんばんは、aya-meです。
挑発の15秒、TB返していたつもりでしたが返していませんでした…夢?
ついでといっては何ですが、こちらにもTBさせて頂きました。草一ダメ派ですか…草一ほどではありませんが、
どちらかというと破局から逃げ派なので、
理解できなくもないんですよね…この臆病さを。
客観的に見るとすごく失礼なことしてるのがわかりますけど(笑)
浩紀はいい男に育ちましたね。わかりやすい性格でいて欲しい…。いつきさんは私イチオシ作家なので他のも
読んでみてくださいまし。
それでは、またお邪魔します。 - Jura 07-02-04 (日) 22:33
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aya-meさん、こんばんは!
>挑発の15秒、TB返していたつもりでしたが
わわわ、もしかしたらスパムのTBと一緒に間違って捨てちゃったのかしら?だとしたらごめんなさい(><)
>草一ダメ派ですか
うーんとですね…なんと言うか
私この話本編のラストがすごーーーく好きなんです、ラストの草一の台詞がとてもお気に入りなの!
なのに番外編というか同時収録の中では「最初から期限付きだと思っていた」なんて言ってるでしょ?その当たりでナヌッ!!思いまして、プチ切れてしまッたんですよね、なんて言ったら良いのか、裏切られたような気持ちになったというか、可愛さあまって憎さ百倍みたいな?(苦笑)
わかる部分はすごく良くわかるの、草一の気持ち…でもね、なんか許せなくて結果こういう感想になってしまいました(笑)
いつきさんの書く話は、台詞のちょっとした言い回しなんかがとても魅力的ですよね、文章の雰囲気自体はとても好きですね。
コメント&WTBありがとうございました
ではまた!!
Trackbacks (Close):1
- trackback from ゲイ&腐男子のBL読書ブログ 07-02-04 (日) 21:15
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『八月の略奪者』/いつき朔夜(藤崎一也)
八月の略奪者と書いて「はちがつのらぷとる」と読みます。
難しいタイトルの読み方ですね。地名・人名に続いて難しいのが本のタイトルだと思います。
たとえば、こんな本のタイトル。樒/榁→しきみ/むろ
亜智一郎の恐慌→あともいちろうのきょうこう一発で読めた人を尊敬します。
まあ、タイトルが作品にあっていればなんでもいいと思いますが。では、ネタバレ低めな感想は以下です。




